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リポート/「李世珍の針」講習会 in 大阪
3月11日(日),大阪凰林医療学院にて「李世珍の針」講習会が開催された。
今回の講習会は,この針の基礎をマスターするための「入門講座」と,もう1ステップ上の臨床力をつけるための「実力養成講座」の2講座を同時開催。
「入門講座」は53名,「実力養成講座」は9名の参加者が集まり,たいへん盛況であった。
入門講座の講義風景
入門講座
午前は関口善太先生(中醫堂関口薬局・関口鍼灸院)が講義を担当。
まず「李世珍の針」の特徴を紹介。この針の掌握すべき知識として,①弁証論治,②腧穴の効能,③諸々の疾病の証タイプに合わせた種々の治療法という3つを強調した。さらにこの針を習得するためには手技に熟練することが欠かせない。手技を訓練する目的は,①治療効果を高める技術を獲得する,②刺針による痛みを解除することである。切皮,そして捻転補瀉手技の練習を行った。
午前後半は,血治療の基本穴として三陰交,血海,膈兪を中心にした配穴を紹介。このうち三陰交を2人1組になって刺針し合った。途中,関口先生が各組を巡回し,刺針していった。講師の刺針を体験できる貴重な時間となった。
「技術習得に向けての練習方法を明確にしてもらったことが,今後この針を継続してみようという意欲につながっている」という頼もしい声も聞かれた。
入門講座で針の操作方法を見せながら巡回する関口先生
入門講座で白川先生を取り囲んで刺針のデモンストレーション
午後は白川徳仁先生(中医針灸院呼泉堂)が講義を担当。この講習で一番の特色は参加者に対して講師が刺針を行い,その間,講師に対して疑問をぶつけることができたことである。講師を取り囲んでこうしたやり取りが展開されることで,周囲で見ている参加者にとってもたいへん勉強になったようである。ある学生(1年生)は,「講習会にはすでに臨床を行っている方もいっしょに参加しており,その方と先生とのやり取りを聞けて勉強になった」という。
また参加したある学生(2年生)は,「学校の授業に違和感があったので,「陰陽五行論」「ツボの探り方」「経絡をイメージすること」「感じること」といった基本的なことで本物に触れることができ,今後のよい指針になった」「これまで虚実が入り混じった症例に対して,弁証の立て方がわからず,そこから先に進むことができないでいたが,今回白川先生の講義を聞いて1つずつ考えていけば答えが出てくるとわかり,たいへん勉強になった」という声も聞かれた。
実力養成講座
昨夏,東京で講習会を行った際,気病と津液病に対するツボを中心に学んだ。今回は血病に対する代表穴と副穴を使った症例検討・実技講習であった。実践型の講習であり,もちろん午前午後とも講師による刺針を体験した。
実力養成講座で参加者に刺針をする白川先生
実力養成講座で参加者に刺針をする関口先生
午前は白川先生,午後は関口先生がそれぞれ講義を担当。午前の講義では提示された症例を各自が弁証を考える形で,午後の講義では3人1組となってグループ討論の形で進行された。
「本にはない配穴の特性や弁証の取りかた,李世珍の針の特徴やどのような注意点があるのかなどわかりやすく説明されたのがよかった」「経穴・経脈の取りかた,切皮,得気の取りかた,手技についてわかりやすく教えていただけた」「弁証してくための問診のとり方や着眼点など具体的な内容でこれからの参考になった」といった声が聞かれ,昨夏に引き続き好評の講習会となった。入門講座を同時開催したことで,実力養成講座への参加者が少なかったが,少人数となりかえって密度の濃い内容になったようである。
(2007年3月記 編集部)
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