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2006年11月 アーカイブ

2006年11月08日

充実した研修旅行でした!

郭先生と集合写真
成都中医薬大学・郭子光先生と参加者のみなさま 2006.11.3





参加者の皆様,成都への長旅本当にお疲れ様でした。
終わってしまえばあっというまの5日間,収穫はいかほどでしたでしょうか。

今回の研修旅行では,成都中医薬大学の温かい歓迎を受け,最高レベルの先生方にご講義や臨床指導をしていただく機会に恵まれ,たいへん中身の濃い研修を行うことができました。
郭子光先生の「命門の火」に関する聞き応えのあるお話,チー魯光先生の目を見張るような「糖尿病・壊疽」患者さんの切断を回避させた中医治療例,陳潮祖先生のお弟子さんである周訓倫先生による「中医治療効果を上げるための要素」に関する講義と症例紹介などなど,日本では学ぶことのできないハイレベルな内容ばかりでした。
研修内容については,じつは事前に当社から大学側にあれこれと要望を並べて相当苦労をおかけしていたのですが,私たち訪問団を「老朋友」としてとても大事にしてくれた大学側の先生方が至れり尽くせりの準備をしてくださったおかげで,こんなにもすばらしい研修内容が実現できました。
成都中医薬大学のみなさまに,心から感謝しております!
研修内容の詳細は,のちほど『中医臨床』および東洋学術出版社ホームページなどでご報告させていただきますのでご期待ください。

今回の研修旅行の参加者のみなさまは,本当に日頃たいへんご熱心に中医学・漢方に取り組まれている先生方ばかりでした。
学習暦数年の方からベテランの方までを含む,合計13名が一緒に研修に望みました。
とてもよかったのは,参加者の皆さんが初対面とは思えないくらい,和気あいあいと楽しくお互いに勉強できたことでした。

成都で学んできた多くのことを,みなさまがこれから臨床で活かして成果をあげられるようお祈りいたします。
それと同時に,中国と日本との間に築かれた新たな交流の輪を,これからもひきつづき大切にはぐくんでいきましょう。

2006年11月20日

臨床研修でみた,糖尿病合併症患者さんのその後

成都中医薬大学・内分泌科,●(qi)魯光先生に,メールをお送りしたところ,お返事をいただきました。
そこに,先日の研修で見せていただいた糖尿病合併症の患者さんのその後のご様子が書かれていましたので,転載します。

チー先生診察







「とてもうれしくお手紙を受け取りました。お問い合わせの2人の患者の現在の情況はとてもよく,帯状疱疹合併の患者はすでに全快して退院し,切断を回避できた足壊疽合併患者の方も足の皮膚の生長がとても速く,傷口はもうすぐ癒合しそうで,私たちはとても喜んでいます。
私はこの頃とても忙しく,来年5月にはドイツで学術交流会があり,今私は講義内容の準備に追われています。
今回の貴社の研修で,皆さんと知り合えてうれしかったです。いつかまた,お会いできる機会があることを望んでいます。」


●(qi)先生の糖尿病合併症治療の成果は,国際的にもたいへん注目されております。
ぜひ日本でも,糖尿病合併症に対する中医薬治療,中西医結合治療が実施され,患者さんの助けになるといいなと思います。
今後も,●(qi)先生のご活躍に注目していきたいと思います。

今回の臨床研修での●(qi)先生の症例リポートは,篠原明徳先生がさっそくご執筆してくださり,『中医臨床』次号(12月号)に掲載される運びとなっております。
あわせて●(qi)先生の関連論文の一部抜粋翻訳も載せますので,楽しみにしていてください。
また篠原先生は高知新聞2006年11月17日号の「効用雑事 四万十・中医学の里から」のコーナーでも,「中国の診療現場」の記事をお書きになっていますよ。

2006年11月23日

研修旅行リポート 当社HP上に掲載しました!

写真入のリポートを、当社HP上にUPしました。
よろしければぜひご覧ください。↓

東洋学術出版社HP 成都中医薬大学研修リポート

『中医臨床』107号(2006年12月号)にもリポートを載せますが、そちらは残念ながら白黒なので、HPの方がカラーで楽しく見ることができます。
そのほか『中医臨床』107号、108号には、参加者の何人かの先生方に各研修の詳細リポートの執筆していただいていますので、そちらもとても楽しみです。

2006年11月29日

成都研修のアンケート結果

研修旅行後、多くの参加者の方々にアンケートにご協力いただくことができました。
みなさまからお聞きしたご意見・ご感想を紹介します。

東洋学術出版社 2006成都中医薬大学研修旅行
アンケート 集計結果

■全体評価
 内容がたいへんよかったとの回答が多かったTOP3は,
  郭子光先生,qi魯光先,周訓倫先生
でした。中薬炮製実習の胡昌江先生もかなり評価が高かったです。

◇個別の講義の中で,特によかったもの,印象に残ったものは?
・郭子光先生の臨床姿勢。
・郭子光先生は,抜群の印象。言う言葉もないくらいよかった。
・郭子光先生の講義は,和文の資料も準備してくださり,非常にすばらしかった。
・やはり郭先生の命門学説に基づいた臨床の話は良かった。もっと複雑な症例も勉強してみたかった。
・郭先生の血液難病への中医の考え方が勉強になった。
・郭子光先生と周訓倫先生がすばらしかった。
・郭子光先生の肝の疏泄と増多、増少の理論と崇高なお人柄。胡昌江先生の炮制実習。qi先生の弁証論治による治療効果の素晴らしさと患者さんへの温かい包容力。
・qi教授の臨床講義は本当にすばらしかった。重症患者を中医学でレスキューするという内容は聞いていて感動的だった。
・郭子光先生の血球増多症と減少症に対する弁証論治。周訓倫先生の講義でのディスカッション形式。
・周先生の「日本の皆さんはこれをどう弁証しますか?」の問いに応えられてよかった。
・炮製の講習と実習がよかった。臨床研修もたいへん刺激になった。
・炮製実習。炮製の意味をはっきり示し,実習も多彩に準備され,中薬使用の奥深さを実感できた。

◇中医学に関して,これまで抱いていた疑問・質問の中で何か解決したことはありましたか?
・命門の考え方。
・「命門の火」は当然,相火・三焦などの今まで頭の中で思弁的概念であったものの実体化ができた。
・これまで勉強してきた中医学の方法や方向性に間違いがないことを実感できてうれしく感じた。
・どの先生も「基礎理論に忠実であれ」と教えられたことで,立つべき位置がはっきりした気持ちになった。解毒→補気への病証=方剤選択の時期がはっきりわかった。
・弁証論治,中医学の原理原則を忠実に追求し続ける態度と実力に感銘を受けた。改めて中医基礎理論を今読み返し始めた。
・弁証と弁病。どちらにも偏らない,この2つの視点が必要だということ。
・中西医結合ということが,一般的に考えられていることを確認した。
・周訓倫先生から、慢性腎不全維持透析例において透析離脱が可能であると伺い、同例の中医学治療に対し、希望を持つことができた。
・久病入絡により、瘀血を考慮にいれること。

◇個別の症例の中で,特に参考になったもの,印象に残っているものは?
・糖尿病の足の潰瘍壊死の症例は今後応用できそう。
・糖尿病症の実習は圧倒された。「弁証論治」の大切さを改めて実感した。
・糖尿病の治療例。
・再生不溶性貧血,糖尿病性腎症,乾癬。
・糖尿病の壊死の症例。
・糖尿病の壊疽,腎症の症例。
・リンパ腫の糖尿病閉塞性動脈硬化症で切断を免れている症例。補気清熱の臨床応用。
・内分泌科の糖尿病合併下腿潰瘍例,皮膚科の帯状疱疹の抗ウイルス薬なしでの傷の治り方がきれい。
・糖尿病病棟の症例。
・糖尿病壊疽例に対し、中医学的治療により、足の切断を免れた例が印象に残った。
・qi先生の脱疽の症例。

◇成都の中医臨床の特徴,有用性は,どのようなところにあると感じたか?
・郭先生の影響かと思いますが、かなり伝統医学の色彩が濃いこと。薬の配合より、治法を重視している点。
・伝統医学としての中医学の伝統を堅く守り妥協しないで,しかも柔軟性を持つという実力が並みでない。中医学に対する信念を肌で感じた。
・症状を方剤や中薬にすぐ結びつけるのでなく,弁証という中医の基本理論に必ず戻っていること。
・どの先生も弁証論治を大事にし,基本に忠実だと感じた。
・中医学の基礎に重きを置きながら,うまく中西医結合され臨床に生かされている点。
・糖尿病の中医学専門家があれだけいること。
・平易な方薬の組み合わせで難病に著効を得ている点。西洋医学の有効性も踏まえ,お互いの利点を中庸を得ながらうまく臨床応用している点。
・理論と所見のとり方が明瞭で,空理空論を感じることがなかった。科学的に感じられた。
・古方活用の巧みさ。四川地域特有の生薬活用。その他多。
・現代医学的な難治例に対して、現代医学的手法からの脱却を図ろうとしている点。通常は難治とされる例に対して、あきらめずに、果敢に中医学的治療を試みている。
・弁証論治に則った治療効果のすばらしさ。

 以上,貴重なご意見の数々,本当にありがとうございました。
成都中医薬大学に研修に行ってつくづくよかったと思います。

それから,
◇このような研修旅行の企画があれば,また参加を希望されますか?
 この問いにはみなさんが,「また参加したい」 とご回答くださり,感激です!

◇次の企画があったら研修場所はどこがいいですか? 
 これには,「また成都をみたい」と「他の大学を見たい」 が半々でした。
具体的なご意見としては,
・田舎でも良い。大学以外の叩上げの中医を見てみたい。
・成都の先生方と年1回交流していくことによって,人間関係を深め,情報交換していくのも1つの方法。
との声が聞かれ,どちらにも「ごもっとも!」と共感せずにはいられません。
欲を言えば,2種類の研修ができれば理想的ですね。
それから今回ご参加いただけなかった多くの関西方面の先生方のために,関西出発も実現できれば…と思います。

準備はたいへんですが,いろいろと夢は膨らみます。
中医学の本場・中国での臨床研修という貴重なチャンスを,当社では今後もみなさまにご提供していけたらなと考えております。
次回企画に,また多くのみなさまにご参加いただければうれしいです。

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