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夏桂成先生の『中医婦人科理論与実践』

2376de4e.jpg写真は,先日亜東書店で購入してきた夏桂成主編『中医婦科理論与実践』(人民衛生出版社)という本の表紙です。
先生の婦人科理論がまとめられた,600ページほどある大きな本です。
まだ中身を読めていないのですが,序文のところにこの本がどんな本なのかということが書かれていました。
ご参考までに,本書の序文を引用します。



夏桂成主編『中医婦科理論与実践』 序文 

 中医婦人科学の発展においては,伝統的な基礎をしっかりと継承しながらも,新しいものを創造すること,つまり深い理論をもちながらも,あわせてそれを突き破りつつ,専門科としての系統的理論の特徴が形作られてきた。そして,現代婦人科学の新しい知見や手法を取り入れて,中医婦人科学を発展させることも必要とされるようになっている。臨床においては,絶えず経験を総合し,「経・帯・胎・産」の各病証の診断治療法則,特に病証の進展の縦向法則を導き出すことが重要である。
 私は中医産婦人科医として,医療・教育・研究に従事して約50年になるが,理論と実践についてともに深く論述した産婦人科の書を完成させたいと常に思ってきた。この本には私の理論探求と臨床実践がすべて反映されている。
 本書は上篇・下篇・附篇に分かれている。上篇の10章は理論篇であり,私が長年にわたり主張してきた「月経周期と調周期方」を論じている。この理論は,私が中医婦人科理論を研究するなかで総括してきたものであり,いまだ完成されたものではない。私たちの考え方は,次の通りである。腎(天癸を含む)−心(脳を含む)−子宮(衝任を含む)の生殖系統のコントロールによって,陰陽が消長転化し,それによって月経周期が調節される。したがって生殖のリズムと,天・地・人の間における陰陽の消長転化の法則とは関わり合いをもっており,共通性が存在する。また,女性一人一人の遺伝・生活・居住地・気候・人種などの違いを細かく観察すれば,その変化法則の違いについても理解することができる。共通性と特殊性,マクロとミクロ,整体と局所,外部と内部などといった,月経の周期の複雑性を生成する要因について,私たちは長期にわたって深く観察した。その際に,月経周期を行経期・経後期・経間排卵期・経前期の四期に分けた。さらに,古人のいう経前期にあたる経前後半期を設ければ,五期に分けられる。そして生理・病理・診断治療の三方面から,これらの周期について全面的な論述を行った。同時に,「7,3,5」の奇数律の臨床応用の一章を設け,女性の生理・病理の特殊な法則について簡単に述べた。その後ろには,五行学説と運気学説の章を設け,疾病の予測と未病の予防に役立つようにした。
 下篇9章は,伝統的な「経・帯・胎・産・雑病」の順に論述している。婦人科という専門科の発展のなかでも,婦人雑病の概念は模糊としているため,そのうちの不妊症・生殖器官炎・女性生殖器腫瘤・外陰および陰道の疾患・乳房疾患などの各病証について,病因病理・診断と鑑別診断・弁証論治・臨床経験を簡単にまとめた。病因病理・弁証論治は臨床の実際と符合していなければ意味がないため,主たる証型の論述と弁証治療だけに限定し,その進展と弁証治療法則を明らかにした。臨床経験については,私たちの考え方に重点を置き,理論的特長・弁証論治の経験・臨床常用経験方・薬理分析・実験研究・現代医学的な関連知識について述べ,中西医薬結合治療の方法と薬物についても,これまでの経験と当代の学者の優れた理論と弁証論治の新手法を紹介した。病証は臨床でよくみられるものを前提とし,伝統的な病証ももちろん含めた。また,帯下過少や母子血液型不適合・妊娠身痒・卵巣過度刺激総合症などの新しい病症も含めた。総じて,理論を実際の臨床に関連付けて,実践によって理論を発展させ,私たちの理論が特徴づけられ効果をあげてきた。
 附篇の2章のうちの1章は,私たちが探求して近年に作り出した,臨床常用経験方27首であり,3つに分類される。1つは,古方の新しい運用法,2つ目は新しい病症に用いるために作り出した処方,3つ目はすでにある経験法の加減方である。もう一方の章は,臨床病案分析である。どの症例も精選したもので,すべてに病歴・診断治療の経過・病案分析・考察を紹介している。

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2005年10月21日 00:00に投稿されたエントリーのページです。

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