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黄煌先生の経方論について―研修参加者のコメントより

黄煌先生の経方論について,ある研修旅行参加者の先生からコメントをいただきましたのでご紹介させていただきます。

 中医学は実践の医学です。
ですから,「方証相対」「薬証相対」を中心に治療するということは,陰陽五行・運気論・脾胃論・痰瘀論などいろいろ学び終えて自分のものにした人が「所詮理屈は理屈だよ」と言うのと同じだという気がしないでもありません。
腕の良い職人が簡単に,素晴らしい細工物を作ったとき,「どうやったらこんな素晴らしい物を作れるのか?」と他人が訪ねても,結局は「知識」ではなくて,すでに「智恵」の世界だと思います。
 でも,その智恵のレベルにたどり着くためには,いろいろな知識の段階が必要な気もします。
古方家・経方家といっても千差万別で,古方派・経方派の中にも理屈にこだわる人は結構いらっしゃるようです。
文章を読んでみると、それこそ現代中医学理論そのものがわけもなく入れられていたりして,一体これは何かと驚かされます。

 黄先生のように徹底的に方証、薬証だけで高い治療効果を示す医師は、きわめて少ないような気がします。
「〜もどき」ではない、本物の経方家なのでしょうね。
わたしもファンの一人で、いつも注目しています。

黄先生は,現代の徐霊胎になるつもりなのでしょうか。
歴史は何度も何度も,行ったり戻ったりするのでしょうか。

コメント (2)

毛塚重行:

※私の印象 その1
 私はおよそ1年半、黄煌先生の臨床や講義を見学したり、著述を拝見する中で、ちょっと違う印象をいだきました。
 「いろいろ学び終えてそれらを自分のものにした」ということはおそらくなくて、むしろ自分のものにできるものを模索する中で、柯琴や徐霊胎にであって影響を受けたということだと思います。
 黄煌先生はたまに「もっと上達したい。よい経方の先生がいたら、今からでも弟子入りしたい」とおっしゃっていました。そういう意味では、黄煌先生の経方は、今後も発展していくもので、「最終的に自分の中医学を作りなさい」という学生への助言を、ご自分でも実践されているのだと思います。
 「所詮理屈は理屈だよ」ということはあるかもしれません。黄煌先生は「理論は説明するのに便利」「理論は後付け」と表現されます。

毛塚重行:

※私の印象 その2
 黄煌先生の考え方は、西洋医学を学ぶ南京医科大学の一部の先生方に取り入れられています。中医学を学んだことのない南京医科大学の学生たちにも、よい印象を与えていたように見受けられました。
 黄煌先生の臨床を見学に来ていた南京医科大学の消化器内科のある先生は、『十大類方』を勉強されて、ご自分の臨床に活かされています。
 つまり、中医師としては中医に関する様々なことを学ぶ必要があるとは思いますが、『十大類方』は決してそうした過程を経ないと理解できないものではないと思います。

※字数オーバーのため2つに分けました。

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2005年10月07日 16:20に投稿されたエントリーのページです。

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