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▼李世珍先生の針

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日本版「李世珍の鍼」構築に向けて―「李式伝統鍼灸,日本実践検討会」

  厳格な弁証論治と少数穴を特徴とする「李世珍の鍼」。弁証と治療穴をこれほど見事に結びつけ体系化された鍼はない。その臨床力を検証する検討会が開催されることになった。「李世珍の鍼」の日本での普及と技術向上が目的だ。このたび李家5代目である李伝岐氏の了承も得て,正式な船出となった。

  検討会運営の中心になるのが関口善太氏,白川徳仁氏,白川織江氏。「李世珍の鍼」の日本への導入期からぶれることなくこの鍼の実践と普及に努めてきた面々だ。この3人が会長代行や顧問などを担当し,事務局長は武藤勝俊氏が務める。将来的には,李家6世代目(李世珍老師の孫)の李揚氏に,会長に就任してもらう予定だという。


検討会のねらい
  関口氏は,「私たちが最初に李式伝統鍼灸を実践しようとしたとき,最も参考になるのが李世珍先生の2冊目の著書『中医鍼灸臨床発揮』です。しかし,実際に治療してみると,本にある通りの結果が出たということも,効かなかったということも,あるいは工夫を加えることで効果が上がった,ということもあるのではないでしょうか。そこで,全国の諸先生が治療した経験を相互交流させて,日本人の体質に合わせたアレンジや得気の問題,あるいは治療頻度の問題などを追求していくための場を設けることにしました。こうした経験を集約させることで,日本の実情にあった李式伝統鍼灸が構築されるとともに,後進に対しても学んだ弁証論治を実践に活かすためのよい指針になると考えています」と,検討会のねらいを語る。


第1回検討会概要
  第1回検討会は,平成23年10月30日に開催されることが決まった。その後1年に1回の割合で実施していく予定だという。検討会に参加するには,まず日本での鍼灸ライセンスの有資格者でなければならない。この会が臨床の実践検討会であるためだ。次に症例の相互検討という性格から,事前に症例を提出してもらう必要がある。毎回,テーマとなる疾病を予め設定し,該当する症例を提出することが,検討会への参加条件となる(概要は次頁を参照)。
  第1回検討会のテーマは腰痛,さらに第2回(1年後)のテーマは頭痛である。第2回までテーマを決めているのは,腰痛で症例を提出できない方でも,頭痛の症例を提出すれば検討会に参加できるようにするためだという。また,第2回のテーマは頭痛だが,これについての症例がない人は,腰痛(第1回の検討会の内容を参考にして,これを追試する形で臨床実践したもの)でも参加条件が満たされる。こうすることで,通常の学会などではできなかった,発表内容の検証ができるというのもこの会の新しい試みだ。
  このほか,2つの疾病以外の症例でも,特別に報告したいものがあれば提出を歓迎しているということだが,参加条件には入らないので注意してほしいとのことであった。
  また,検討会当日に実技交流の場を設け,李式伝統鍼灸を始めてまだ日が浅く,補瀉手技の指導を受けたいと希望する先生方にも配慮できるよう準備しているという。


  李世珍先生の最初の著書『臨床経穴学』が日本で翻訳出版されてから15年余りが経過し,この間多くの方々がこの鍼を学んでこられた。そしていま,日本の臨床にしっかりとした根を張るべく,「李世珍の鍼」の真の実力を見定める試みが始まろうとしている。この鍼を実践している臨床家の方々にはぜひこの検討会に参加して,症例の集積・検討に加わっていただき,この鍼のもつすばらしさを明らかにしていってもらいたいと願っている。

編集部

第1回検討会の概要

【開催日】平成23年10月30日(日)
【参加資格】
①日本での鍼灸ライセンスの有資格者
②症例(腰痛か頭痛)を提示できるもの
*提出する症例数は,個人参加の場合は1人1症例。研究会単位で症例を共同提出する場合は,会員5人ごとに1症例。
【テーマ】腰痛
【検討会参加までの流れ】
1.参加申込

①本会のホームページ(http://risechin.blog91.fc2.com/)をご覧いただき,所定のメールアドレス宛に「参加希望」を知らせてください。グループ参加の場合は代表者の方が申込を行ってください。この段階では費用はかかりません。
②登録していただいたアドレス宛に,当会事務局より参加申込完了のお知らせと,提出していただく症例(カルテ)の形式および必要な記載事項についての案内を送信します。
2.検討会参加登録
①後日,改めて本登録の案内をメール通知いたします。その内容に従って,症例の提出および参加費用の払い込みを済ませてください。
②症例の提出と参加費払い込みの確認ができましたら,他の参加者の症例の閲覧方法をお知らせします。検討会当日までに目を通して,症例に対する質問を拾い上げておいてください。会場では,それぞれの症例をすべて発表しあう時間はないため,個々の具体的な質疑を中心に実践検討を進めることになります。

☞「李式伝統鍼灸・基本手技講習会」開催のお知らせ

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