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衛生・計画生育委員会がH7N9型鳥インフルエンザの治療予防案を発表

上海・江蘇・浙江・北京・甘粛などで,H7N9型鳥インフルエンザに対する中医薬予防プランが公表された

 今年2月以降,上海市・安徽省・江蘇省において,相次いで原因不明の重症肺炎の症例が発生した。感染状況の報告を受けた中国の衛生・計画生育委員会はこれを重くみて,すぐに専門家を派遣し,現地において,救急治療と応急処置の指導や,感染状況の対応の検討にあたらせた。さらにこれらをふまえ,H7N9型鳥インフルエンザの対人感染治療案プランや,病院での感染予防および抑制技術指針および感染状況抑制プランを策定した。
 「H7N9型鳥インフルエンザ対人感染治療プラン(2013年第1版)」では,H7N9型鳥インフルエンザの対人感染時の症状や,診断基準および治療方法など,多くの内容を明確に示している。H7N9型鳥インフルエンザは,H7N9亜型の鳥インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症であるが,感染源は未だ明確になっておらず,人から人への感染は認められていない。治療プランでは,診断が確定した患者は隔離治療を行い,酸素吸入や解熱剤・咳や痰を止める薬剤の投与などの対症治療を行うか,早急に抗ウイルス薬治療を行うよう指示している。さらに治療プランでは,詳細な中薬の参考処方を列挙し,また5種類の中成薬を推薦している。
 現在,上海・安徽・江蘇の衛生部門は,衛生・計画生育委員会の要請にもとづき,患者の救急治療や,接触者の追跡および医学的観察,感染状況の監視測定など,応急処置の実施を継続している。さらに浙江・北京・甘粛などでは,各地域の特色をふまえた,中医薬によるH7N9型鳥インフルエンザ対人感染治療の予防プランを発表した。
 このうち,上海市はすでに,H7N9型鳥インフルエンザ対人感染治療・予防の中医薬専門家チームを選出し,「上海市H7N9型鳥インフルエンザ対人感染の中医薬による予防・治療プラン」を策定。治療の際には,清熱・解毒・化湿・扶正祛邪という原則にのっとり迅速に治療を進め,カゼと似た症状が現れる初期段階においては,医師の指示に従い中成薬を服用してもよいと提案している。
また,江蘇・浙江省の中医薬管理局は,現地の特色をふまえて専門家チームを組織し,各省それぞれがH7N9型鳥インフルエンザ対人感染に対する中医薬予防・治療プランをたてている。このうち江蘇省では,中成薬の玉屏風散顆粒・板藍根冲剤・黄耆内服液を服用して鳥インフルエンザを予防し,中医の衛気営血弁証を用いて弁証し,透表清気・清熱瀉肺平喘・清気涼営解毒・醒神開竅固脱などで治療を進めることを提案している。一方,浙江省では,中薬の茶飲・煎じ薬・匂い袋など,鳥インフルエンザを予防する薬方を詳細に示しており,同分野における中医薬の役割をいかんなく発揮させている。
 さらに北京市中医管理局も,「中医薬によるH7N9型鳥インフルエンザ対人感染の予防プラン」を策定し,H7N9型鳥インフルエンザ予防の中薬処方を2種発表した。またこれと同時に,各レベルの中医医療機関に,集中的な訓練や典型的な症例の分析などを行い,医療スタッフが,H7N9型鳥インフルエンザの感染の識別方法を迅速に把握するよう要請した。
 甘粛省衛生庁は,現状をふまえて策定した中医薬予防・治療草案において,湯剤および中成薬を用いた中医薬治療以外にも,「高熱が引かない場合は,大椎・曲池・十宣などの経穴を選択して放血治療を行ったり,病状をふまえて刮痧や吸い玉(火罐)などの補助的治療法を用いたりしてもよい」と提案している。
 また衛生・計画生育委員会は,「H7N9型鳥インフルエンザの対人感染予防抑制技術指針」を発表し,各地の医療機関に,実情をふまえた予備警戒体制を構築し,緊急対応草案および作業手順を策定して,臨床の医療スタッフの訓練を行うよう要請した。このようにして,H7N9型鳥インフルエンザの対人感染予防・抑制に対する医療スタッフの意識や報告および処理能力を高め,これと同時に,病院における感染監視測定作業を強化する。さらに衛生・計画生育委員会は,「H7N9型鳥インフルエンザの対人感染状況予防・抑制プラン」(第1版)も発表し, H7N9型鳥インフルエンザ感染患者を,可能なかぎり迅速に発見・報告・診断・隔離・治療し,パンデミックを抑制するよう各地に指導した。


◆関連情報:

「H7N9型鳥インフルエンザ対人感染治療プラン」(2013年第1版)中医薬治療

1.疫毒犯肺・肺失宣降
【症状】発熱,咳,痰が少ない,頭痛,筋肉・関節の疼痛。
【治法】清熱宣肺
【参考処方】桑葉・金銀花・連翹・炒杏仁・生石膏・知母・蘆根・青蒿・黄芩・生甘草,水煎,1日1~2剤,4~6時間ごとに1回服用する。
(加減)咳がひどい場合は枇杷葉・浙貝母を加える。
(中成薬):疏風解毒カプセル・蓮花清瘟カプセル・清開霊注射液を使用してもよい。

2.疫毒壅肺・内閉外脱
【症状】高熱,咳,痰が少なく吐き出しにくい,息がつまる,息切れがして息が荒い,喀血,四肢が暖まらない,冷汗がダラダラと流れる,イライラして不安になる,ひどい場合は意識がもうろうとしてうわごとをいう。
【治法】清肺解毒・扶正固脱
【参考処方】炙麻黄・炒杏仁・生石膏・知母・魚腥草・黄芩・炒山梔子・虎杖・山萸肉・太子参,水煎,1日1~2剤,4~6時間ごとに1回内服または経鼻投与。
(加減)高熱があり意識がもうろうとして,ひどいときにはうわごとをいう場合は,上記煎じ薬で安宮牛黄丸を服用させる。四肢が冷たく,冷汗がダラダラと出る場合は,人参・炮附子・煅竜骨・煅牡蠣を加える。喀血がある場合は,赤芍・仙鶴草・側柏葉を加える。唇が紫色になっている場合は,三七・益母草・黄耆・当帰尾を加える。
(中成薬)参麦注射液・生脈注射液を使用してもよい。

中国中医薬報[2013.4.8] 翻訳:平出由子

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