1. 中医薬事業発展の第12期五カ年計画を発表・実施,重大プロジェクトを着実に推進
中医薬事業発展の第12期五カ年計画が5月に発表・実施された。同計画は,中医薬事業発展の指導的思想・基本原則・発展目標を明確にしており,医療改革を重視し実施することで,中医薬医療・保健・教育・科学研究・産業・文化を全面的かつ協調的に発展させる「六位一体」構想を堅持する。また2015年までに,中医薬事業の発展に適応する管理および運用体制を構築し,中国経済と社会発展に対する中医薬の貢献度を高める。さらに,同計画で決定した各重要任務およびプロジェクトを着実に推進する。
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2.医療改革に中医薬を積極的に参与させ,地域医療における中医薬サービスの能力向上プロジェクトを実施
国家中医薬管理局,衛生部,人力資源・社会保障部,国家食品薬品監督管理局・総後衛生部は,医療改革の「強基層」(地域医療強化)という重点政策の強化をはかり,9月に共同で,地域医療における中医薬サービスの能力向上プロジェクトを実施した。2015年までに,社区衛生サービスセンターの95%以上,農村衛生院の90%以上,社区衛生サービスステーションの70%以上,村営衛生室の65%以上で中医薬サービスを提供できるようにし,地域医療の中医薬サービスネットワークを基本的に完成させて,都市および農村部の住民の中医薬医療保健サービスに対するニーズに応える。また,各地が相次いで関連措置を構築・実施する。
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3.中医薬のサービス貿易を国家貿易発展戦略に組み入れる
商務部・外交部・国家中医薬管理局など14部門は,4月に「中医薬サービス貿易発展に関する若干の意見」を公表・実施した。同意見は,中医薬のサービス貿易の発展に関する,指導的思想・基本原則・全体目標を明確にし,5年間で,国際市場のニーズをふまえた中医薬のサービス貿易の促進体系と国際販売体系を構築するとしている。このことは,中医薬サービス貿易を,国家貿易発展戦略に組み入れたことを意味する。
また5月には,第1回サービス貿易「京交会」において,中医薬を専門テーマとした活動が実施され,温家宝氏・李克強氏ら中央政府のトップが,中医薬展示区を参観した。
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4.『チベット医薬大典』『中国軍事本草』を出版・発行
『チベット医薬大典』(『蔵医薬大典』)は,中国最大のチベット医薬文献編纂事業の成果であり,全60巻,6,000万字からなり,638のチベット医薬古代書籍および近現代を代表する書籍が収録されており,チベット医薬の2900年の歴史を網羅した,チベット医薬学の理論と実践の集大成である。同書の編纂には,20余年の時間を費やし,千人近くの専門家・学者が参与した。
『中国軍事本草』は,中国初の軍事中薬本草の専門書である。同書は,薬用植物530種,経験方800余種,写真2000枚を収録しており,各種戦傷および疾患という軍事医学を網羅している。また,全国で軍事目的に使用できる主要中草薬類とその分布や,軍事的緊張区域や,軍事管理区域・抑制区域内の薬用動植物および,それらが関連する生体地理環境も記されている。同書は,中国の伝統医学と現代軍事薬学を融合させており,世界の伝統医薬分野初の重大な成果となっている。
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5.「中医薬標準化の中長期発展計画の綱要」を発表・実施
国家中医薬管理局は9月に,改革以来初の中医薬標準工作会を開催し,中医薬標準化管理協調・専門家技術・国際諮問委員会を設立して,「中医薬標準化の中長期発展計画の綱要(2011-2020年)」を公表した。これにより,中医薬事業発展における中医薬標準化の基礎的・戦略的・全面的地位や役割,さらに中医薬事業の発展を指導し支えるという重大な意義を明確にした。
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6.64の第1期学術流派伝承工作室を確定
国家中医薬管理局は12月に,64の第1期全国中医薬学術流派伝承工作室の設立機関を発表した。これにより,中医薬の学術流派を発掘・整理し,特色ある優位性が顕著で,学術に対する影響力が大きく,臨床における治療効果も高く,伝承人が確保されており,他流派への影響力もあり,人材の横のつながりが確かな中医学術流派の伝承団体を育成して,中医薬の継承や開発に対する重要な役割を強化する。
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7.中薬が初めて医薬品としての欧州市場進出を果たす
成都地奥製薬集団公司が研究・製産した地奥心血康カプセルが,オランダで初めてEU市場への登録に成功した。同薬品は,中国の自主知的財産権を有する治療薬の,先進国主要市場進出ゼロという現状を打破し,EUメンバー国以外で初めて市場進出を果たした植物薬となった。このことは,中薬が国際化に向けて大きな一歩を踏み出したことを意味する。
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8.「養熊取胆」「打通任督二脈」という2つの中医薬関連の話題が社会から注目
2012初頭,熊の養殖企業である帰真堂が販売登録を求め,生きている熊から胆を採取することが野生動物保護に反するという論争を招き,そこから,中薬の発展において,絶滅危惧動植物資源の保護と中薬原料利用との間に発生する問題を,いかに解決するかという論争に発展した。
また5月には,甘粛省衛生庁がホームページで,「甘粛省の医療従事者が真気の訓練を受け,40人余りの人が任督脈を通じさせた」というニュースをアップし,社会の注目を集め論争を呼んだ。この論争により,一部の人は俠客小説から気功に関する知識を得ており,もともと気功は中医に属することを知る人は極めて少ないことが発覚し,中医薬普及強化の必要性が明確になった。
9. 15の第1期中医薬文化科学普及図書を国民に推薦
近年来,中医薬の科学普及図書市場は玉石混淆の状態にあるため,国家新聞出版総署・国家中医薬管理局は,共同で第1回全国優秀中医薬文化科学普及図書推薦活動を展開し,最終的に『国学養生叢書』『針灸図説』など15の中医薬文化科学普及図書を選出して,国民に向け推薦した。今回の活動は,国民の科学的な中医薬文化の知識の獲得を保証し,中医薬科学普及図書市場の健全な発展を促進する。また,国民の健康維持の権利と利益を保証し,中医薬文化を繁栄させるという主旨にもとづいている。
10.中医薬の救急治療システムが初期段階で完成,突発的公共事件に対する対応能力が向上
国家中医薬管理局は,11月に改革以来初となる全国中医薬救急治療工作会議を開催した。同会議では,突発的な公共事件が発生した際の中医薬救急治療業務のリーダー小隊・突発性公共事件中医薬救急治療専門家委員会を設立し,目標任務を明確にした。中医薬は,SARS・四川および青海地震・舟曲土石流などの災害時に,積極的に治療に参与し効果を発揮した。ここ数年では,救急治療システムの構築を加速し,同システムは初期段階での完成をみて,突発的公共事件に対する対応能力が大幅に向上した。
中国中医薬報[2013.2.1]
翻訳:平出由子