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中成薬の国際標準には独自の特徴が必須

上海市中医薬研究院 黄虞楓・上海市中医薬発展弁公室 桑珍


 国際標準化機構・中医薬技術委員会(ISO/TC249)の,第2回メンバー国全体会議が2011年5月にオランダで行われ,中薬製品など5つのワーキンググループ(WG)を設立した。このうち第2WGは,おもに中薬製品の品質および安全性保持の分野における国際標準化作業を担っている。
 中国はこの契機をしっかりと捉え,前もって準備を開始して,国際標準化作業における受動的な立場を脱し,主導権を握るべきである。筆者は,中医薬の国際市場の実情をふまえ,以下の意見を提唱する。

全面的な計画を入念に練る。中国は,第12期五カ年計画期間中に,中医薬国際化標準の策定と推進を戦略の重要点とみなす。中成薬の国際標準策定の主導的立場に立ち,中成薬の近代化および国際化進展の推進に尽力して,中国の中成薬産業全体のレベルアップを促進する。また,中成薬中の成分の含有量測定を可能にし,これを安定させることを重視する。中成薬の安全性と有効性の国際標準は,中成薬の作用メカニズムとその研究に力を入れるだけでなく,臨床における治療効果全体の評価をより重視する必要がある。
中成薬の国際標準体系の戦略を進展させるうえでの優先順位を確立する。一部の専門家は,中成薬の主要製品と優位性の高い製品(経典方,または処方が合理的で簡潔なものや,市場シェアが高いまたは多くの製薬企業が生産している製品)や,重金属や残留農薬量の測定方法,毒薬物範囲の限定,中成薬の生産工程における単味中薬の抽出方法など,国際基準においていくつかの分野を優先的に進展させるべきだと提言している。またこれと同時に,中成薬の品質保障は,必然的に良好な中薬材の品質保持のうえに成り立つものであるため,薬材種苗資源・標準化栽培・品質保持なども非常に重要であることを忘れてはならない。
中成薬関連の国際標準と,各国の薬典および法規間の関係をきちんと処理する。世界各国の中薬材と中成薬に関する標準と規範は足並みがそろっておらず,米国FDAやEUなど,各国の植物薬管理の具体的な標準もいまだ統一されていない。また一部の国ではまだ相応の標準がないため,ISO標準の策定が極めて必要とされている。ISO標準は強制的標準ではないが,ISO標準を策定することにより,中成薬の国際貿易の際に参考となる共通標準を提供することになる。国際標準の規則を十分に活用することで,中国の中成薬の国際貿易利潤を保護することができる。
中医薬の特徴的理念に合致する国際標準の推進を堅持する。市場競争において,標準の策定権を握るものが,技術および経済競争における主導権を一定レベルで握ることができる。現在西洋諸国が提唱している中薬評価システムは,まだ十分に合理的とはいえず,中医薬の発展を制限するものである。中国が,問題解決のための方法や径路を早急に探りだし,中医薬の国際化を迅速に進めなければ,技術と市場の一部を失うだけでなく,審査法規と業界標準の参加権・発言権も失うことになりかねない。そうなると損失は大きなものとなるため,中医薬の国際貿易の前に立ちはだかる壁を取り払うためにも,標準化を最大の武器とするべきである。


 中成薬の国際標準は,独自の特徴を有する必要がある。中成薬は西洋薬と異なり,理論的根拠・構成・思考パターンまたは研究方法にいたるまで,すべてに独自の特徴を有する。中成薬の国際標準の策定は,必ず中医薬理論のうえに成り立たせるべきであり,策定過程において中成薬標準を策定・活用・推進する際に,近代的な最新科学技術・手段・方法・設備などを取り入れ,徐々に西洋医学・西洋薬の理論と思考パターンから脱却させる。そして,中成薬製品の品質・治療効果・安全性に対する,全体的な評価を下すようにする。


中国中医薬報[2013.01.07] 翻訳:平出由子


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