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2011年中医薬統計〈1〉 ~中医の医療資源およびサービス~

 2011年の全国中医薬統計の摘要が発表された。中医薬に対する政府の重点的政策が深まるにつれ,中医薬は医療・教育・研究分野において急速な発展を続けている。中医薬は,中国国民の健康維持や,地域医療・衛生制度構築の促進において,ますます重要な役割を果たしている。


(1) 全国の中医薬資源の総数


 2011年の全国の衛生機関のうち,中医機関(中医系病院・中医系外来診療部・中医系診療所・衛生部門直轄の中医科学研究機関を含む)は38,224箇所に達し,2010年の36,763箇所に比べ1,461箇所増加した。現在,全国の衛生機関のうち,中医機関は4.01%を占めている。
 全国の中医薬人員の総数は420,329人であり,2010年の404,372人に比べ,15,957人増加した。現在,全国の衛生技術人員に対する中医薬人員の比率は6.79%に達している。
 全国の中医薬人員のうち,中医師(中医執業医師)は267,225人,中医師助手(中医執業助理医師)は42,047人,中薬剤師(中薬師(士))は100,116人,研修中医師は10,941人となっている。2010年に比べ,研修中医師以外の各中医薬人員はすべて,中医師が10,864人,中医師助手が4,304人,中薬剤師が3,016人増加している。
 全国の衛生機関のうち,中医科のベッド総数は722,269床であり,2010年の639,480床に比べ,82,789床増加している。現在,全国の衛生機関における中医科のベッド数は,全国のベッド総数の14%を占めている。


(2) 中医系病院における中医薬資源の総数


 2011年の全国の中医系病院の総数は3,308箇所であり,2010年の3,232箇所に比べ76箇所増加した。機関を種類別にみると,中医病院は2,831箇所,中西医結合病院は277箇所,民族病院は200箇所であり,2010年の中医病院2,778箇所,中西医結合病院256箇所,民族病院198箇所に比べすべて増加している。
 2011年の,全国の中医系病院の実質ベッド数は529,349床であり,2010年の471,289床に比べ,58,060床増加している。現在,全国の病院の実質ベッド数に占める中医系病院の実質ベッド数の割合は14.29%に達し,2010年の12.72%に比べ増加している。実質ベッド数の種類別の割合は,中医病院が477,078床,中西医結合病院が38,787床,民族病院が13,484床で,2010年の中医病院424,244床,中西医結合病院35,234床,民族病院11,811床に比べ,それぞれ52,834床,3,553床,1,673床増加している。ベッド数の平均規模からみると,2011年の全国の中医系病院の平均ベッド数は160.02床であり,全国の病院の168.58床に比べやや少ない。
 全国の中医系病院の人員総数は662,074人であり,2010年の618,106人に比べ43,968人増加している。このうち,中医病院が599,200人,中西医結合病院が49,340人,民族病院が13,534人であり,2010年の中医病院558,110人,中西医結合病院47,480人,民族病院12,516人に比べ,それぞれ41,090人,1,860人,1,018人増加している。


(3) 全国の中医系病院の総収入・薬品収入および薬品シェア


 2011年の全国の中医系病院の総収入は、1,590億1,600万元(約2兆円)に達し,このうち中薬収入は721億1,500万元(約9,200億円)で,薬品の占めるシェアは45.35%である。これは,昨年の45.41%に比べ,0.06ポイントの減少となった。機関別にみると,中医病院の薬品の占めるシェアは45.63%,中西医結合病院が44.39%,民族病院が33.9%であり,2010年の中医病院45.53%,中西医結合病院45.69%,民族病院35.58%に比べ,中医病院は0.1ポイントの増加,中西医結合病院は1.3ポイントの減少,民族病院は1.68ポイントの減少となった。


(4) 全国の中医病院の資産状況


 2011年の中医系病院の院平均総資産は6,045万7,100元(約7.7億円)であり,このうち固定資産が3,769万1,600元(約4.8 億円)で,2010年の院平均総資産5,141万100元(約6.6億円)および院平均固定資産3,247万3,300元(約4.1億円)に比べ,顕著に増加している。2011年の中医系病院の1ベッドあたりの平均固定資産は23万5,000元(約300万円)であり,2010年の22万7,000元(約290万円)に比べ増加している。2011年の中医系病院の院平均純資産は3,729万3,600元(約4.8億円)であり,2010年の3,263万6,500元(約4.2億円)に比べ大幅に増加している。ただし,全国の病院の平均レベルに比べ,中医系病院の資産はやや脆弱である。2011年の全国の病院の平均総資産は7,589万8,500元(約9.7億円),院平均固定資産は4,851万2,400元(約6.2億円)で,1ベッドあたりの平均固定資産は28万7,800元(約368万円)となっており,上述の3項目の指標はともに,中医系病院に比べ顕著に高い。
 2011年の中医系病院の資産負債率は38.31%であり,2010年の36.52%に比べてやや増加しており,また2011年の全国の病院の資産負債率35.96%よりも高い。


(5) 中医系病院の建築面積の状況


 中医系病院の,平均建築物面積と院平均業務用建築物面積は,ともに大幅に増加している。2011年の院平均建築物面積は1万2,800㎡であり,2010年の1万800㎡に比べ増加している。また,2011年の院平均業務用建築物面積は9,399.02㎡であり,2010年の8,456.00㎡に比べ増加している。2011年の1ベッドあたりの平均建築物面積と平均業務用建築物面積は,それぞれ79.93㎡と58.74㎡であり,ともに2010年の74.09㎡,57.99㎡に比べ増加している。
 ただし,全国の病院の平均レベルと比べると,中医系病院の基礎は依然として顕著に低いというのが現状である。2011年の全国の病院の平均建築物面積は1万5,700㎡,院平均業務用建築物面積は1万1,400㎡であり,1ベッドあたりの平均建築物面積は93.19㎡,1ベッドあたりの平均業務用建築物面積は67.33㎡となっており,4項目とも中医系病院に比べはるかに広い。


(6) 中医薬資源の普及度


 2011年の,全国の中医系病院の1万人あたりのベッド数は3.93床であり,2010年の3.52床に比べ0.41床増加している。地域別の上位5市・省は,北京市・新彊自治区・青海省・湖南省・浙江省であり,それぞれ5.86床・5.78床・5.35床・5.07床・4.82床となっている。
 2011年の全国の1万人あたりの中医師(助手)数は2.3人であり,2010年の2.2人に比べ0.1人増加している。地域別の上位5市・省は,北京市・内モンゴル自治区・四川省・天津市・重慶市であり,それぞれ5.65人・3.62人・3.43人・3.41人・3.31人となっている。


(7) 全国の中医薬サービスの提供度


 2011年の全国の衛生機関の中医科救急外来の総数はのべ5億9,200万人(診療所・衛生所・医務室・村営の衛生室の統計データは含まない)に達し,2010年ののべ5億3,200万人に比べ,のべ6,000万人増加している。こののべ人数は,全国の救急外来ののべ総数の15.38%を占めており,2010年の14.90%に比べ0.48ポイント増加している。また,全国の衛生機関の中医科退院人数は1,925万人に達し,2010年の1,665万人に比べ260万人増加している。これは,全国の退院人数の12.61%を占めており,2010年の11.78%に比べ,0.83ポイント増加している。


(8) 中医系病院の中医薬サービスの提供度


 2011年の中医系病院の総診療人数はのべ3億9,700万人に達し,救急外来人数は3億8,800万人であり,2010年の,総診療人数ののべ3億6,000万人,救急外来人数ののべ3億4,900万人に比べ,それぞれのべ4,000万人近く増加している。


(9) 中医系病院の稼働率


 2011年の中医薬系病院のベッド回転数は29.01回であり,病床作業日は313.26日,ベッド稼働率は85.82%となっている。また,退院患者の平均入院日数は10.54日である。このデータは,全国の病院の平均に比べて差がある。退院患者の平均入院日数は,全国の病院の10.30日に比べ0.24日長く,ベッド回転数は,全国の病院の30.18回に比べ1.17回少ない。病床作業日は,全国の病院の322.93日に比べ9.67日少なく,ベッド稼働率は全国の病院の88.48%に比べ2.66ポイント少ない。2010年の中医系病院の各項目の指標に比べると,すべて顕著に改善されており,退院患者の平均入院日数は,2010年の10.67日に比べ0.13日の減少,ベッド回転数は2010年の27.87回より1.14回の増加,病床作業日は2010年の305.37日に比べ7.89日の増加,ベッド稼働率は2010年の83.66%に比べ2.16ポイント増加している。


(10) 患者の負担状況


 2011年の政府管轄の中医(総合)病院の,1診療あたりの平均医療費は152.94元(約1,958円)(国レベル310.26元(約3,972円),省レベル234.71元(約3,005円),地相当の市レベル163.96元(約2,099円),県相当の市レベル137.21元(約1,756円),県レベル102.33元(約1,310円))であり,全国の衛生部門の総合病院の186.06元(約2,382円)に比べ33.12元(約424円)少なく,2010年の137.53元(約1,761円)と比べると15.41元(約197円)増加した。物価上昇の要素を除くと,実質的な増加は4.71元(約60円)となる。
 2011年に退院した患者の,平均医療費は5,206.28元(約66,646円)(国レベル17,458.07元(約223,482円),省レベル11,183.49元(約143,167円),地相当の市レベル7,078.75元(約90,620円),県相当の市レベル4,912.21元(約62,884円),県レベル3,209.01元(約41,081円))であり,2010年の4,878.33元(約62,451円)に比べ327.95元(約4,198円)増加した。物価上昇の要素を除くと,実質的な2011年の退院患者の1人当たりの平均医療費は36.18元(約463円)減少している。
 退院患者の1日当たりの平均医療費は500.92元(約6,412円)(国レベル1,098.63元(約14,064円),省レベル752.35元(約9,631円),地相当の市レベル535.02元(約6,849円),県相当の市レベル506.90元(約6,489円),県レベル374.16元(約4,790円))である。2010年の460.66元(約5,897円)に比べ40.26元(約515円)増加しているが,物価上昇の要素を除くと,実質的な増加は1日当たり5.23元(約67円)となる。


(11) 医師1人当たりの平均診療人・日数


 2011年の政府管轄の中医(総合)病院の,医師1人あたりの年間担当診療人数はのべ1,921.73人で,全国衛生部門の総合病院ののべ1,810.75人に比べ,のべ110.98人多い。医師1人あたりの年間担当入院日数は760.10日で,全国衛生部門の総合病院の924.21日に比べ164.11日少ない。医師1人あたりの診療人数は,1日あたりのべ7.66人で,全国の衛生部門の総合病院の7.21人に比べ0.45人多い。医師1人あたりの担当入院日数は2.08日で,全国の衛生部門の総合病院の2.53日に比べ0.45日少ない。(つづく)


翻訳:平出由子


出典:中国中医薬報(2012.10.8)

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