中医学の東洋学術出版社：中国最新情報

　　2012年１～７月期，中国の対EUの中薬輸出額は2.4億ドル（約190億円）で，同期比６％増となったが，中成薬の対EU輸出額は同期比で大幅に下落した。
　　2004年にEUが発表した「伝統草薬薬品指令」（以下「指令」）は，中国の中成薬の対EU輸出に直接的な影響を及ぼした。「指令」では，EU市場で販売される中成薬はすべて，新規定に従って2011年４月30日までに登録を完了し，さらに販売許可を得なければ販売できないと定めている。EUは，世界最大級の植物薬品市場の１つであり，シェアは全世界の植物薬品市場の40％以上に達している。同指令の施行以前は，EU市場の中草薬は，大多数が食品・保健品・植物薬の原料として流通していた。現時点で，オランダにおける成都地奥グループの正式登録以外に，その他の中薬で登録に成功した事例はない。１～７月，中国の中成薬の対EU輸出は582.3万ドル（約４億６千万円）で，同期比で36.5%も下落した。
　　現在，EUで中国から中成薬を輸入する主要国はオランダ，イギリス，オーストリア，ルーマニアである。これらの国では中医薬は比較的認知されており，環境にもゆとりがあり，中薬のEU登録に対し技術的にも多くの支持を行っている。
　　2012年１～7月，EUに中成薬を輸出した中国企業は137社あり，このうち民間企業は98社で，輸出額は49.4%を占めている。一方，国有企業は32社で，輸出額は42.8%を占めている。輸出企業の省・市は，広東，江蘇，天津，黒龍江，上海が中国の中成薬の主要対EU輸出元となっている。また浙江，天津，江蘇など少数の省・市を除いては，大多数の省・市で，中成薬の対EU輸出額が同期比で大幅に下落している。
　　登録費用の高さと市場規模の縮小に直面しているものの，医療保険商業会議所はたびたび育成訓練の会議を催し，中医薬の輸入国とEU市場への重視を推進することをオランダに申し出て，現地住民は中医薬を歓迎しており，中国の国内企業にこれら比較的中薬を認めている国から先に突破口を開くよう提案している。今年，成都地奥グループの「心血康」がオランダで薬品としてついに発売されることになり，中国の中医薬の国際化に向けた第一歩を踏み出した。その他の中医薬企業もEU市場に対する自信を失っていない。2011年7月，蘭州仏慈がスウェーデン薬品局に中成薬の登録を申請した。中成薬の「EU登録への扉」は新しい転機を迎えるかもしれない。（霍卫・中国医薬保健品進出口商会）

中国中医薬報［2012.10.19］