中医学の東洋学術出版社：中国最新情報

　　中国の国家食品薬品監督管理局（国家薬監局）は，先ごろ第46期『薬品不良反応信息通報』（薬品による副作用情報の通達）を公表して，雷公藤製剤の使用に関して安全性に注意を払うよう警告した。

　　国家薬品不良反応監測センターの有害事例報告データベースによると，2004年１月～2011年９月にかけて，「雷公藤多苷片」の事例報告が633件あり，そのうち重症者が53件，おもに薬剤性の肝炎・腎機能不全・顆粒球減少・白血球減少・血小板減少・閉経・精子減少・不整脈などがみられた。「雷公藤片」に関連する事例報告は201件あり，そのうち重症者が19件，おもに薬剤性の肝炎・肝腎機能異常・腎機能低下・胃出血・白血球減少・血小板減少・閉経などであった。「雷公藤双層片」に関連する事例報告は５件あり，そのうち重症者は１件，骨髄抑制がみられた。その他にも雷公藤を含む中成薬があるが，発売後それほど時間が経っておらず，販売量・使用量が比較的少ないため，現在のところ有害反応の事例報告はない。しかし，成分が類似しているため，その安全性に注視する必要がある。
　　雷公藤製剤の有効成分は同時に毒性成分であり，なおかつ治療ターゲットが限定されていることから，連続して服用すると，肝臓・腎臓・血液系・生殖系などに障害が現れる恐れがある。そのため国家薬監局は，この類の薬剤を服用する際には必ず医師の指導のもとで使用しなければならないことや，使用初期は最小量から始めることを提起している。一般に薬剤量と治療期間を厳格にコントロールしたうえで，連続して３カ月以上の服薬をすべきでないとされている。また薬品使用中は定期的に医師の診察を受け，血液や尿の検査を実施し，心電図と肝・腎の機能の検査を強化しなければならない。
　　また特に以下の者への使用が禁じられている。児童や妊娠を希望する者，妊婦と授乳期の女性。心・肝・腎の機能不全者。貧血の重い者や白血球や血小板が減少傾向にある者。胃・十二指腸潰瘍の活動期と不整脈ある者などである。

中国中医薬報［2012.4.4］