中医学の東洋学術出版社：中国最新情報

　　３月24～25日，南アフリカのケープタウンにおいて，「第１回中国・アフリカ医薬協力・発展フォーラム」が開催され，そのなかの「道地薬材国際貿易専門フォーラム」において「ケープタウン宣言」が発表された。同フォーラムには，20を超える国と地域から中医薬や関連分野の代表が出席し，意見の一致をみた。フォーラムでは「私たちは，各国政府および業界関係者が，生態学をふまえて道地薬（産地薬）の開発・保護・活用を重視すべきだと考えている。産地薬が危機に直面すると，生物や文化の多様性の喪失や生態環境の悪化など，数多くの社会的問題を引き起こす可能性がある。そのため，産地薬の保護および持続可能な活用を，人と自然の調和のとれた発展システムの中に組み入れ，生態環境の保護を有効的に進めて，人類の健康を促進する」と呼びかけた。
　　「ケープタウン宣言」は，道地薬材国際貿易連盟が発起人となり，共同して生物多様性を保護する行動を取ることによって産地薬資源を保護し，産地薬の持続可能な活用および発展を実現することを呼びかけている。さらに合理的な方法によって資源を共有するという理念の伝播を促進し，国際社会とともに地球上の生物資源を保護することを目指している。
　　「宣言」では，産地薬は人類が創造した大切な知力の結晶であり，また同類製品の品質標準とみなすことができるとしている。産地薬は，それ自体が長期にわたる実践を経て成り立った一種の製品標準であり，中薬における実質的な製品標準だといえる。そして中薬の国際貿易は，この標準にもとづき展開されている。産地薬の産地表示を明確にすることによって，消費者が簡単に薬材の真偽を見分けられるようになり，産地薬のブランド化を後押し，産地薬の国際貿易を推進することができる。
　　また「宣言」では，道地薬材国際貿易連盟は，国連の環境計画である「生物多様性条約」で掲げられている関連項目に積極的に応え，国際社会とともに地球上の生物資源を保護し，残された資源と商業的利益を公平に享受できるようにすると強調している。さらに，生物の多様性をともに保護することにより，産地薬の保護および持続可能な活用を実現したり，産地薬の保護と活用に関する分野の人材を養成する。それに加え，産地薬の生産・栽培基地の設立および品種の認証を推進して，採集が持続可能あるいは環境保護型の産地薬製品の調達・供給を優先させる。
　　「第１回中国・アフリカ医薬協力・発展フォーラム」は，世界中医薬学会連合会が主催し，南アフリカの西ケープ大学と南アフリカ中医針灸学会が請け負って開催されたもので，世界各地から260人以上の代表が出席した。
　　同フォーラムは，中国およびアフリカ諸国の伝統医薬の協力および交流を強化して，アフリカにおける中医薬の発展を促進し，人類の健康に貢献することを主旨としている。おもなテーマは，①中医薬の管理および発展戦略の研究，②中医薬および中医針灸の基礎理論研究，③中医薬の重大疾患にたいする予防・治療および針灸の臨床研究と応用，④伝統医学の発展戦略，⑤伝統医学の学術研究および臨床応用，⑥中医薬の南アフリカおよびアフリカにおける発展に関する問題などである。

中国中医薬報［2012.03.26］
翻訳：平出由子