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2011年中医薬十大ニュース

 1月16日,国家中医薬管理局新聞弁公室と中国中医薬報社は共同で,2011年度の中医薬十大ニュースを発表した。
 
第12次五カ年計画網要において,中医薬関連項目をはじめて単独で掲げ,中央財政は初年度に59億元を投じて中医薬の発展を支持
「中華人民共和国国民経済・社会発展第12次五カ年計画網要」では,中医薬の発展を支える項目をはじめて単独で掲げ,6項目の「基本医療制度の改善」重点プロジェクトの1つに組み入れた。これにより経済社会の発展における中医薬の地位がさらに向上した。さらに中央財政は,第12次五カ年計画の初年度に59億元(日本円で約73億円)を投じ,中医薬事業の発展に向けた支持の力を増大させた。

屠呦呦教授が2011年度のラスカー臨床医学賞を受賞
中国中医科学院の屠呦呦教授が,アーテミシニン(中国名:青蒿素)の研究によって多大な貢献を果たし,米国・ラスカー賞(臨床医学賞)を受賞した。屠教授は,中医典籍から青蒿によるマラリア治療のヒントを得て,エーテルの低温抽出によるアーテミシニンの精製方法を発見した。この方法で得られた抽出物は,抗マラリア作用が顕著であり,アーテミシニンの有効的な精製方法の開発に重要な役割を果たした。アーテミシニンによるマラリア治療は,これまでに全世界,特に発展途上国において数百万人の生命を救ってきた。

『黄帝内経』『本草綱目』が世界記憶遺産に選出
2011年5月23~26日,英国・マンチェスターにおいて,ユネスコの世界記憶遺産国際諮問委員会第10回会議が行われた。同会議において,中国が申請していた『黄帝内経』と『本草綱目』が世界記憶遺産に登録された。これは,国際社会が中国の中医薬文化の価値を認めたことを意味している。

中医薬が医療改革の進展に大きな力を発揮,中医薬政策も確立
衛生部・国家中医薬管理局が「医薬衛生体制改革の深化業務において中医薬の役割を発揮するための意見」を発表。医療改革を進展させるための五大重要プロジェクトにおいて,中医薬が重要な役割を果たしている。さらに国務院の「中医薬事業発展の支持・促進に関する若干の意見」で決定した政策措置は,中央から地方に至るまで全面的に実施されている。

中医薬文化の構築に新たな局面,大衆も中医薬知識の普及を歓迎
国家中医薬管理局は初となる全国中医薬文化建設工作会議を開催し,中医薬文化の構築に向け業務強化を指導する意見を発表した。また第1回全国中医薬文化普及優秀図書の推薦活動を実施し,養生・保健関係図書の出版手順も整備された。さらに「大医精誠」など中医薬文化の核心的な価値観が広く普及し,一部のマスコミでは,中医の養生・保健に関する記事が看板コーナーとなり,中医・中薬の「村へ,地域へ,家庭へ」「中医薬普及巡回講座」という活動が中国全土で広く実施されている。

初の全国中医基本現状調査報告を発表,毎年延べ9億人が中医診療を
「2009年中医基本現状調査報告」が発表され,新中国成立後はじめてとなる全面的な調査が実施され,中医薬事業の発展に科学的な根拠を提供した。同報告によると,全国の年間の中医救急外来総数は延べ9億700万人に上り,全国の医療機関のうち中医医療を提供できる機関は59.6%を占め,人口1万人当たりの中医師数は3.06人となっている。

局・省連動業務体制を確立,甘粛省が初の中医薬総合改革モデル省に
国家中医薬管理局と甘粛省政府は,中医薬発展総合改革モデル省の構築協議を締結した。甘粛省は,中医の欠点を補いながら,中医・西洋医の同時発展を堅持してきた。これは,省の情勢に合った医療改革の道であり,全国のモデル省としての効果をあげた。国家中医薬管理局は,この他にも海南省・江蘇省・河南省政府とも共同協議を締結しており,各省とともに中医薬事業の発展を推進している。

中薬材価格の上昇が社会の注目を集め,国家関連部門の価格抑制措置が効果を発揮
中医薬材価格が不当に高騰し,それが連鎖反応を起こすなか,国の関連部門は積極的に対応措置を取った。中医薬材の市場状況を全面的に調査し,流通プロセスを整理したり,法によって買い占め行為を処罰したり,遊資傾向を抑制して,主要な中医薬材価格を徐々に適正価格へと回復させた。現在,調査対象の500品種余りのうち半数以上の薬材価格が低下しており,100種以上の薬材の下げ幅は21~50%となっている。

「民間医薬を発掘,民間中医を活用」政策,民間中医薬が力を発揮
国家中医薬管理局は,民間医薬の発展が直面している難題に対し「民間医薬業務強化に関する意見」を発表し,民間医薬の発掘・整理を強化して,医療資格者に対する管理を徹底した。各地方では,「杏林尋宝」(医学界の宝を発掘)などの措置をこうじ,民間診療技術や方法を発掘して,確実な技術を有する民間中医師に,合法的な医療従事者資格や中医予防保健サービス資格が取得できるようにした。

山東省・兗州市中医院の診療費後払いシステムや,山西中医学院付属医院の「金銭のあるなしに関わらず救命第一」の理念が業界および社会から大きな反響を
この2つの中医病院は,医療改革の推進および「創先争優」「三好一満意」活動において,人を最優先に考え,大胆なサービスモデルや理念を確立した。これにより,サービスの質を向上させ,医師・患者間の良好な関係構築を促進し,新たな経験を創り上げることに成功し,中医薬および医療改革の発展において大いに注目を集めた。

中国中医薬報(2012.01.16)
翻訳:平出由子

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