サイト内キーワード検索


お問い合せ

東洋学術出版社

〒272-0021
 千葉県市川市八幡
 2-16-15-405

販売部

  TEL:047-321-4428
  FAX:047-321-4429

編集部

  TEL:047-335-6780
  FAX:047-300-0565

▼中国最新情報

« 中国最新情報 トップに戻る

値上がりが続く中国の生薬市場

 2010年に入って、漢方薬や中薬の原料となる生薬が中国全土で異常に高騰している。値上がり幅は生薬によってまちまちだが、三七の場合前年比の約7倍程度、太子参で前年比6倍程度となっている。さらに厄介なのは、一部生薬で在庫がなくなっているケースが出始めている点だ。臨床家にとっては非常に頭の痛い問題だ。

 生薬価格の高騰は、2010年春頃から顕著になっていた。中国では、生薬価格は各地区の物価局がコントロールしているが、上海市の場合、中薬行業協会が2010年5月に太子参の販売価格を1キロ141元に引き上げるよう物価局に申し入れた。ところが、仕入れ価格はあっという間に1キロ260元前後にまで上昇してしまい、赤字覚悟での販売となるため、仕入れ量が減ると,さらに価格が上昇するという悪循環に陥った。
実際、上海市中薬行業協会が市内18箇所の中医薬局を調査したところ、220種類の生薬で利益がほぼゼロか、赤字で販売されている実態が浮き彫りになった。そこで、2010年9月に再度中薬の販売価格を改定したが、それでも追いつかず、最近では2010年12月にも再度改定された。この改定では、合計494種類の生薬が値上げされ、平均の値上げ率は44.06%になった。

 相次ぐ生薬値上げの背景には、近年相次いだ雲南省・貴州省・四川省の干ばつの影響が大きい。さらに、インフレ懸念が高まる中国では、人件費や輸送費の高騰も著しい。一方で、中国経済のバブルの投機マネーが生薬市場に流れ込んでいるという情報もあり、冬虫夏草など高価な生薬を中心に、異常な高騰を見せることもあった。

 中国では、西洋医学の新薬と比較して、中薬は安いというイメージが定着していたが、これからは決してそうではないということを改めて実感させられる。(藤田 康介)

ページトップへ戻る