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訃報 任継学先生が逝去されました

 2010年2月4日,長春中医薬大学教授の任継学先生が85歳で逝去されました。中医救急学を創立したメンバーの一人であり,中医学の発展に貢献した人に贈られる「国医大師」の称号をもつ30人の老中医の一人でもありました。

 任継学先生は,1926年1月生まれ,吉林省扶余の出身で,15歳から吉林省の名医・宋景峰先生に師事し,吉林省扶余県人民解放軍の区衛生所所長を歴任されました。1956年,長春中医薬大学の前身となる吉林省中医進修学校で学ばれ,卒業後は大学に残って教育・研究活動に携わってこられました。専門は主に中医内科の脳・循環器や熱病でした。
 60年に及ぶ臨床活動のなかで,特に中医学を用いた救急分野での実績が多く,中医救急学(中医急診学)の体系化に力を注がれました。研究分野では,中国国家研究プロジェクトとして「中医治療による虚血性脳卒中の臨床と実験研究」や「中医治療による出血性脳卒中の臨床と実験研究」に従事し,大きな成果を残されました。
 最近では,SARSが流行した2003年に自ら広東省に赴き,国医大師の鄧鉄涛教授らとともに,第一線で治療にあたられ,中医学を使ったSARS治療・予防案を真っ先に発表されました。さらに,吉林省では中医学防治SARS首席専門家として,SARSの予防治療に使う中薬の研究にあたられ,「扶正除疫顆粒」を開発,実際に9万人以上が服用し,予防面で大きな効果を上げました。こうした業績から,2004年に医学関係で功績のあった人に贈られるノーマン・べーチュン賞を受賞されています。
 主な著書に『懸壺漫録』任継学経験集』などがあるほか,大学の教科書として使われている『中医急診学』や『中医瘟疫大全』,『漢英双解中医大辞典』などの主任編集委員を務められました。ご冥福をお祈り申し上げます。(2010年2月記 藤田 康介)

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