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広東省中医院が発表した新型インフルエンザの中薬治療案

  少しさかのぼるが、2009年6月下旬に、SARS治療で中薬治療を導入し大きな成果を残した広東省中医院が、新型インフルエンザ治療に関して、中薬による治療案を発表している。昨今、中国の各病院が様々な処方を出している中、今回は広東省中医院でマスコミなどにも公表された治療案を紹介する。

1.中医病名 疫癘
2.軽症の中医治療
(1)中薬治療
① 内服薬
症状:インフルエンザの初期の症状で、悪寒・発熱、頭痛と体の痛み、筋肉の痛みやだるさ、汗が十分に出ない、或いは軽い咳と咽の痒みや痛みがある。舌質は淡紅もしくは舌の先が赤い、苔は薄白もしくは薄黄色。脈は浮数。
治法:辛涼解表・清熱解毒。
処方:銀翹散もしくは桑菊飲の加減。
発熱・咽の痛みが中心の場合は、銀翹散の加減を用いる。処方内容は金銀花15g、連翹15g、薄荷10g(後下)、荊芥穂10g、牛蒡子15g、桔梗10g、芦根15g、生甘草5g。
咳が激しい場合は、桑菊飲の加減を用いる。処方の内容は、桑葉15g、菊花15g、薄荷10g(後下)、連翹10g、芦根15g、桔梗10g、杏仁10g、生甘草5g。
腹痛や嘔吐がある場合は、藿香・佩蘭を加える。
湿を持つ場合は薏米・扁豆を加える。
また、清熱解毒系の中成薬も併用できる。
② 中薬を使ったうがい 主に咽が痛く、咽の調子が悪いとき。1日1剤で、お湯250mlに溶かして使用。2時間おきに口を漱ぐ。
処方:崗梅根顆粒30g、土牛七顆粒30g、桔梗顆粒10g、甘草顆粒10g(注:崗梅根はあまり馴染みがないが、中国南方地方に生息する植物の根で、清熱解毒、生津などの作用がある。土牛七は、土牛膝とも書く。製熱解毒・利水などの作用がある。)
③ 体温が38℃以上で発汗がない場合:生薬を使った足湯を行う。40~45℃の生薬湯に1回30分足を浸ける。1日2回~3回。
処方:麻黄粉15g、桂枝粉15g、防風粉15g。
(2)注意事項
手をよく洗う、風通しをよくする、しっかりと休息する、患者の隔離云々の一般的な注意事項が全部で5項目挙がっているが、ここでは中医学的な要素がある項目を1つだけ取り上げてみた。

 暖かいお湯を摂取し、食べ物は薄味を心がける。脂っこいものや味の濃いものは体内で積熱となるので、食べないようにする。また、健脾渗湿作用のあるスープもよい。これは、太子参・茯苓・炒扁豆・蓮子・荷葉・米仁・淮山薬などの生薬と脂身の少ない豚肉や兎の肉を混ぜて煮詰めてスープにしたもの。こうした料理は、広東人は「燙湯」といって日常からよく食べる。
 また、ビタミンCを含む果物(オレンジ・リンゴ・ハミメロン)などの摂取を心がけ、便通があるように気をつける。(2009年10月記 出典:「広東省中医院甲型H1N1流感中医治療方案」 藤田 康介)

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