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新型インフルエンザの中医治療、黒竜江省の取り組み

中国各地で中薬による新型インフルエンザ治療症例が紹介されている中、黒竜江省中医研究院でもタミフルを使わずに、中薬煎じ薬で成果を上げている。
 9月26日までに98例の新型インフルエンザ患者が黒竜江省中医研究院で確認されたが、95例が治癒した。そのほか、125例の発熱隔離症例と、234例の密接接触者への治療にも煎じ薬が使われている。概ね、治療が始まってから1日~2日で発熱が下がり、2~3日後に症状全体が収まったという。
現在、黒竜江省中医研究院では煎じ薬として清瘟解毒煎薬Ⅰ号、Ⅱ号のほかに、『国医大師』の称号をもつ張琪教授が考えた早期予防と初期治療目的用の0号の3タイプが煎じ薬として使われている。

 黒竜江省中医研究院における中医学での新型インフルエンザへの取り組みは、9月13日に黒竜江大学で学生11人の患者が確認されたところから始まる。15日午後には、黒竜江省中医研究院呼吸器科の江柏華主任が感染した学生の診察にあたり、中医薬による治療案が検討されて、まず2種類の処方が決められた。これにも基づいて、黒竜江省中医研究院では、15日夜に425袋の煎じ薬を準備し、黒竜江大学の23人の新型インフルエンザ感染患者と50人の発熱観察患者に服用させた。
 翌9月16日には張琪教授により、Ⅰ号処方とⅡ号処方の微調整が行われ、Ⅰ号処方に含まれている生石膏の量を50グラムから30グラムに減らし、新たに黄芩15グラムと柴胡10グラムを加えた。Ⅱ号処方にも柴胡10グラムが加えられている。
 張琪教授によれば、新型インフルエンザは中医学の温病に属し、温熱犯肺証から、清温解毒・清肺止咳の処方が使えると考えた。Ⅰ号処方は主に発熱・咳・黄色の痰・頭痛・咽の痛み・鼻づまり・倦怠感などの症状に使われ、Ⅱ号処方は、微熱・空咳・咽の痒み・切れにくい痰・咽の渇き・倦怠感に使うという。煎じ薬を瓶詰めにして、引き続き隔離病棟で使われた。その結果、9月15日~21日にかけて黒竜江省中医研究院では、3172本の煎じ薬が病棟に送られ、新型インフルエンザ患者95人の治療に使われた。
 これまでの研究では、タミフルを使わないで、これら煎じ薬をつかって治癒した95人に副作用はみられず、新型インフルエンザのウイルス検査はいずれも陰性となった。その後、黒竜江省現地メディアでも、新型インフルエンザ治療に対しての中薬の活用は大きく報道されており、注目されるようになったようだ。
(2009年10月記 中国中医薬報[2009.09.30]より 藤田 康介)

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