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砂漠の人参「肉蓯蓉」の栽培

 生薬資源の枯渇問題が中国で深刻化している中、補腎や通便作用でよく処方され、「砂漠の人参」との異名をもつ肉蓯蓉も年々生産量が減少し、行く末が心配されている。そこで、中国では、タクラマカン砂漠やウランプハ砂漠、バダインジャサン砂漠などの中国北部の砂漠地帯を中心に肉蓯蓉の人工栽培を行い、砂漠化の拡大を防ぎ、自然環境の改善を目指す試みが行われている。

 野生の肉蓯蓉は、価格も高いためかねてから乱獲が問題になっていた。砂漠に生える灌木に寄生して育つ肉蓯蓉は、こうした灌木の伐採などが原因で数を減らしており、地球温暖化と砂漠化が肉蓯蓉の減少を助長しているともいわれている。野生の肉蓯蓉の産出量は中国で年間500トンを割っており、過去の産出量と比較すると1%にも満たないのが現状だ。
 そこで2004年に内モンゴル地区のウランプハ砂漠で、肉蓯蓉の人工栽培に初めて成功した。その後、徐々に肉蓯蓉の栽培面積を増やし、砂漠化を防ぐ目的も兼ねて、2006年から210万米ドルを投入して肉蓯蓉の栽培プロジェクトをタクラマカン砂漠で始めた。また、新疆ウイグル地区では初めての砂漠を走る国道となるタクラマカン砂漠国道と防護林プロジェクトでも、肉蓯蓉が植えられている。こうした肉蓯蓉の人工栽培面積は年々増え、2008年度には10万畝までになった。
 このように生薬の栽培は、中医学の未来への発展の根幹となるばかりだけではなく、自然環境保護問題とも大きく関連していることが分かる一例と言えるだろう。(2009年7月記 新華社 藤田 康介)

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