|
▼中国最新情報
« 中国最新情報 トップに戻る
中国各地で報告、中医薬のみで治療に成功した新型インフルエンザ症例
中国各地で症例数が増加している新型インフルエンザに対して、中医薬のみの使用での治療成功例が最近、相次いで紹介されている。この中には、西洋人や妊婦患者への使用もあり、中医学の有効性についてさらに踏み込んだものと言えそうだ。
北京市では、これまでに8例の患者に対して、中医薬のみでの治療を行った。このうち、4例はすでに退院し、残り4例も近々退院できる見込み。
地壇病院で中医薬のみの治療を行った4例の患者には、30歳の母親と6歳・2歳の子供の家族3人が含まれている。入院時に母親は医療関係者に対して一家3人の治療にはタミフルを使わず、伝統的な中医薬のみでの治療を要求したという。その結果、要望通りに中医薬による治療が行われ、今では母親の熱は完全に下がり、2人の子供の容体も回復に向かっている。
このほか、1例の患者は薬学の専門家で、日頃から風邪をひいたときにタミフルを度々服用していたという。今回、新型インフルエンザに感染した際、タミフルを2錠服用したが、効果が見られなかった。そこで、中医薬による治療を実行し、現在症状は改善されている。
こうした経験を受けて、北京地壇医院では、患者の症状にあわせた院内処方を決めている。軽度の発熱、もしくは発熱が見られない症例に対しては地壇1号製剤、重症の症例に対しては地壇2号製剤を使っている。臨床医によると、1号製剤・2号製剤ともに解熱作用は西洋医学の薬よりすぐれているといい、上気道感染症の軽減も早いようだ。一般に、服用後4時間程度で発汗がみられ、それが全身の発汗となり、最終的には脈も静かになり体の熱も冷めてくる。
一方で、深センでは新型インフルエンザに感染した妊婦に対して、中医薬を用いた。この症例は、妊娠13週目で、深セン市第三人民医院で治療を受けた。病院では、この患者の特殊性を配慮して、中医薬だけでの治療を決定、6月24日に回復している。現在のところ、母子ともに特に大きな問題はないという。
深セン市第三人民医院の周伯平院長によると、世界的にみても妊婦が新型インフルエンザに感染した場合、症状が重くなる傾向にあるという。さらに、早産や流産、死産へのリスクが高まる。アメリカやメキシコでも新型インフルエンザに感染した妊婦の死亡例が報告された。
深セン市第三人民医院のこの妊婦の場合、入院時の症状は重く、咳が非常に激しかった。治療薬による副作用の心配があったため、発熱・咳・鼻水などの症状に合わせた5種類の生薬を調合し、治療を行ったところ、3日目にウィルスの核酸反応は陰性となった。
広東省では、オーストラリア人の患者が広東省中医院大学城医院で中医薬だけの治療が行われた。当該医院での中医薬だけでの新型インフルエンザ治療症例は4例目になる。この患者は、6月18日に空港で38.2℃の発熱が確認され、新型インフルエンザウィルス陽性反応も出た。入院時は疲労感のほかに喉の痛みを訴え、喉は充血していた。専門家による討論の結果、湿象が重いと判断され、香薷散の加減が処方された。生薬服用39時間後には喉の痛みを初めとする関連症状は一切なくなり、新型インフルエンザウィルスのRNA検査でも陰性となり、西洋人への純中医薬治療でも経過は良好ということだ。(2009年7月記・中国中医薬報 6月29日版・藤田 康介)
ページトップへ戻る
|