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2008年中医薬10大ニュース
1、中医薬分野に過去最高額となる35億元超の予算:
国家発展改革委員会、財政部、科学技術部などの関連部門では中医医療・教育・研究・文化等の分野に対し35億元を超える予算を投入し、中医薬分野に対する政府資金の過去最高額を更新した。陝西省、安徽省、浙江省、江蘇省の地方政府は中医薬発展の為の会議を招集し、また湖北省、浙江省、北京市等の地方政府は中医薬分野に対する補助及び中医薬事業関連の公文書制定を促進するなどの革新的な政策措置を講じた。さらに山東省、安徽省、甘粛省、青海省、寧夏省、陝西省、上海市、浙江省、河北省、江西省、江蘇省及びマカオ特別行政区において人々に更なる中医への理解を深めてもらうために大々的な宣伝キャンペーンを行い、中医薬事業の普及啓発を後押しした。
2、中医薬医療の社会貢献:
2008年5月に起こった四川大地震では、全国16省の自治体から、総勢2000人を超える172の中医医療チームが被災地に派遣された。中医医療チームは骨折患者に対する「夾板固定」や伝染病・感染症を予防する湯薬数百万人分を被災者に提供するなど、中医学の利点である利便性や経済性などを生かし、被災地診療に大きな貢献をした。また被災地での疾病予防や簡単な治療知識などを記載した小冊子を被災者に配り、被災地で生活する上での健康や疾病予防の啓蒙にも尽力した。各地の中医薬関連業界は、多くの被災地救済キャンペーンを通じて四億元を被災地に寄付したといわれている。そのほかにも手足口病の流行や、乳幼児粉ミルク事件など全国で起こる健康問題に積極的に対応し治療・予防に大きく貢献している。
3、北京オリンピックで中医診療サービス、多数の選手・観客が受診:
2008年中国では北京オリンピックが開催されたが、その際すべての競技場及び選手達の生活するオリンピック村に中医診療所が設けられた。期間中、260人を超す中医師がボランティア参加し、鍼灸・推拿等の治療を受けた患者は延べ4409人、カウンセリング指導では延べ6377人にのぼった。治療やカウンセリングだけではなく、約170万人のボランティアスタッフに中薬を配合した「中薬清暑涼茶」を配ったり、「中国伝統医学のスポーツ医学における予防的使用」をテーマにした討論会を開いたりと様々なイベントを開催し、各国の代表選手及び観客へ中医文化を印象付け、北京オリンピックにおける医療サービスの大きな特徴となった。
4、WHOが第一回伝統医学会議を北京で開催:
2008年11月、WHOは第一回となる世界伝統医学会議を北京で開催した。会議にはミャンマー、南アフリカ、オーストラリア等約70カ国の政府関係者や専門家、非政府組織・NGOなどの団体関係者約1500人が参加し、伝統医学の発展を世界規模で推し進めることを提唱する「北京宣言」を策定・発表した。会議期間中、中国衛生部・国家中医薬局などは合同で大規模な「中国中医薬展」を開き、各国各団体代表者に中医薬の悠久の歴史と現在の医療システムにおける伝統医学の利点などを示した。
5、中医薬の国際交流及び国際協力の進展
・2008年6月、米・アナポリスにおいて第四回中米戦略経済対話が開かれた。今回の対話には中米の中医薬関連事業の協力も盛り込まれており、王国強中国衛生部副部長・国家中医薬管理局局長とマイク・リービット米保健福祉省長官は「中米による整合医学及び中医薬分野に関する協力覚書」にサインした。これにより中米中医薬協力委員会が成立し、中米の中医薬事業における協力体制は新しい幕開けを迎えた。
・2008年7月、国家中医薬管理局、中国在英大使館及び英国王子基金会は合同で「英国中医薬ウィーク」と銘打ったキャンペーンを英国国内において打ち出した。キャンペーン期間、ロンドンにおいて「中医薬文物展」を開催し、500件以上の中医薬文物や貴重品が中医薬の深遠な文化的魅力をロンドン市民に伝えている。
・2008年11月、世界中医薬学会連合会は「第一回世界中薬教育会議」を天津において開催し、43の国家及び地区から300名に及ぶ専門家と200名以上の国内専門家が参加し、世界中医薬学会連合会教育指導委員会により起草された「世界中医学大学教育基本要求(草案)」を審議した。
6、中医による「治未病」プロジェクトはじまる:
国家中医薬管理局は2008年1月25日、北京にて第一回となる「治未病」フォーラム及び「治未病」プロジェクト開幕式を行った。未病治療とは中医薬学の古来から伝わる医学思想であり、今回のプロジェクトは疾病予防を主とした医療プロジェクトである。国家中医薬管理局は全国46の施設と上海・広東2省で試験的にプログラムを開始する。
7、初の中医師継承学位を設ける:
国家人事部、国務院学位委員会、教育部、衛生部、国家中医薬管理局は合同で「全国老中医薬専門家学術経験継承労働管理規定(試行)」にサインし、臨床医学学位のなかで初めて継承学位を設けた。これにより全国の老中医薬専門家は条件にあえば修士又は博士の学位を申請することができるようになった。
8、初の中医診療器具展覧会開催:
国家中医薬管理局は国内初となる中医診療設備展覧会及び中医診療器具フォーラムを上海で開催し、全国各地の中医薬管理部門、医療関連企業、学校、科学研究所、設備生産企業及び関連部門代表者や専門家など600人余りが参加した。また国家中医薬管理局は中医診療器具の組織的研究に力を注ぐだめ、中医診療器具促進プロジェクトを開始した。
9、毛沢東主席の「西学中」コメント発表50周年:
1958年、毛沢東主席は中医薬学と西洋医学の協力、ひいては中西医結合という思想のもと、西洋医師に中医学を学ばせることを提唱した(西学中)。これにより中国では中西医結合という医療体制が進んでいった。2008年はちょうどその50周年にあたり、北京にて50周年記念大会が開催された。今年は「中西医結合医学雑誌(英語版)」がSCIE(Science Citation Index Expanded)の情報文献として加えられた年でもあり、韓启徳全国人民大会常委会副委員長は大会に際して「西学中」は中西医結合を推し進める有効な手段であり、いまいっそう提唱していくべきものとした。会議には陳竺衛生部部長も出席し講話を発表している。また2008年の医師国家試験では、第一回となる朝鮮医学及び壮医学の医師国家試験が吉林省と江西省壮族自治区にて実施され、これでチベット族・モンゴル族・ウイグル族・朝鮮族・タイ族・壮族の6つの民族医学が国家資格に認められたことになり、中医学、西洋医学だけではなく、民族医学も取り入れていこうとする中国の姿勢が伺える。
10、中医薬学術研究の飛躍:
2008年、上海瑞金医院・中国科学院等の合同研究チームは、国内初となる生化学的アプローチによって、分子レベルで中薬「復方黄薫片」の白血病治療の成分とマルチターゲットの作用メカニズムを解明した。また同時に中薬方剤の君、臣、佐、使の配合原則の科学性を証明し、この研究成果が『Proc. Natl. Acad. Sci. USA』(PNAS)に受理され、高い評価を得た。国内では「虫類薬超微粉砕技術」(技術発明賞2等賞)、「中医体質分類判定基準の研究と応用」(科学技術進歩賞2等賞)など中医薬関連5つの研究論文が国家レベルの賞を受賞した。また薬用植物10万種が保存されている世界最多となる薬用植物種データベースが運用を開始するなど2008年は中医薬学術研究が大きく飛躍した年であったといえる。
(中国中医薬報[2009.01.19]より 翻訳:潮崎弘一(中医師))
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