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上海長寧区に「治未病」研究センターが設立される
上海市各地で現在進められている「治未病」プロジェクトは、地域医療での中医学の有効活用方法として、注目を集めている。そこで上海市衛生局では、上海市内では初めて長寧区で「治未病健康プロジェクト」を始動させ、この経験をもとに市内全域に広める活動準備を行っている。さらに、長寧区公共衛生センターでは、2008年10月に上海市中医「治未病」研究発展センターが設置され、全国で初めての未病治療実践テストエリアとして本格的に活動を始める。
実は上海市長寧区では、2007年から全国中医薬特色社区衛生服務モデル地区に指定されていて、中医学を地域医療に導入する研究が行われてきた。その後、中国で初めての「治未病」プロジェクト実践エリアに指定されたという経緯がある。
この「治未病健康工程」は、市内の1級医院~3級医院に分かれている医療システムを活用し、市クラスの総合中医病院(3級病院)から、区クラスの中医医院(2級病院)、各住宅エリアの社区衛生服務センター(1級病院)や敬老院と呼ばれる老人ホームなどのネットワークも含んだ規模の大きなものとなっている。
一方で、今回の長寧区で設置された上海市中医「治未病」研究発展センターでは、上海市内の29名の中医学の専門家が招聘され、区内8カ所の社区衛生服務センターと、2カ所の中医医院で「治未病」が実践されることになる。
「治未病」プロジェクトの目的は、未病を予防し、罹患したらその進行を食い止め、病後回復後は再発を防止するという意味で使われている。そのため、最近上海人の間でも広く普及してきた健康診断の結果も活用し、もし問題があれば飲食などの注意事項を伝えるだけでなく、中医薬や膏方、鍼灸など各種中医学の手段を使って早期に治療に関与しようというものだ。また、健康診断には体質の評価なども盛り込まれており、医療機関には定期的に患者の動向を追跡する任務も盛り込まれている。
上海市では、社区衛生服務センターの医師がこれまでも一人暮らしの高齢者ケアや訪問診療、新生児の予防接種など地域医療に密着した医療サービスを行ってきたが、これを基礎にさらに中医学の未病の分野にまで手を広げてきたことは、注目されるだろう。(2008年10月記 藤田 康介)
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