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中国、生薬の炮製に新しい標準化基準導入へ
炮製とは、生薬に予め各種加工を施し、生薬の安全性を高めたり、貯蔵に便利にしたりすることを言う。また生薬を使うとき、生薬を炮製することにより、さまざまな薬効引き出すことができるとも言われている。中医学の特徴の一つであり、生薬を応用する上で、医師の実力の見せ所でもある。しかし、教科書にはさまざまな炮製法が記されていても統一基準がなく、現場では経験値によるところが多いため、炮製基準の制定が求められていた。
現在、中国では2010年版の『薬典』の編さんが進められているが、この中で325種類の生薬に関して、合計987通りの炮製について詳細に掲載されることになった。生薬の炮製サンプルはすでに完成し、今後さらに細かい数値測定が行われる。このように、『薬典』に300を超える生薬の炮製方法が記載されることは、画期的なこととして注目される。
ただ、中国でも近年西洋医学の発展にともない、刻み生薬の地位が低下しつつあり、むしろ新薬や中成薬の市場占有率が年々大きくなってきた。その関係か、炮製に対しての意識があまり高くないのが現状だ。現実にも、現在使用されている『薬典』には16種類の生薬の炮製基準しか記載されていない。炮製基準の曖昧さが、生薬の品質標準化に大きな影響を及ぼしており、さらには生薬の国際化の大きな障害となっている。特に、生薬の中国からの輸出が増える中、炮製の標準化基準が求められることが多くなってきたという。
さらに、中国各地では様々な伝統的な生薬炮製法が残っているが、こちらも継承者が足りず、技術の消滅が心配されている。中国政府もその保護に力を入れているが、まだまだ十分といえない。(2008年10月記 藤田 康介)
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