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上海で例年より多いニセ冬虫夏草、その理由は?
上海市では今年、例年以上にニセの冬虫夏草が見つかっている。冬虫夏草の本物は、1キロあたり12万~14万元(192万~224万円)するため、偽物を掴まされたときの損失は大きい。ただ、例年と事情が違うのが、こうした偽物の冬虫夏草の正体が、いつもよくある単に小細工された偽造品ではないという点だ。しかも、上海市食品薬品検験所に持ち込まれた鑑定サンプルの冬虫夏草の殆どが偽物だったという事実も発覚している。
冬虫夏草には実は様々な亜種のものがあることが知られている。その中でも、今年は特に市場で「亜香棒虫草(学名:Cordycepshawkesi Gray)」が多数で回っている。チベットや四川省など高原エリアしか収穫できない冬虫夏草とちがって、亜香棒虫草は、湖南省・江西省・福建省・安徽省などでも収穫され、特に今年は豊作であるというのが偽物増加の原因のようだ。厄介なのは、この2種類の姿形があまりにも似ているという点だ。しかも、亜香棒虫草は中国でも薬用にする地域もあるようだが、冬虫夏草とは性質がことなり、代用することができない。また、長期間服用すると頭痛や心悸、嘔吐などの副作用がある点も報告されている。
姿形が似ている2種であるが、実は冬虫夏草は、幼虫に麦角菌が寄生したもの、一方で亜香棒虫草には亜香棒菌(C.hawkesii Gray)が寄生したものであり、ここからも性質が違うことが分かる。
上海市では、上海市食品薬品監督管理局の専門家も出て、市場に販売されている冬虫夏草の大規模な品質調査を行った。総じて上海市内の大手薬局などで販売されている冬虫夏草に関しては、安心できるとコメントしている。こうした高価な生薬を購入する場合は、小さな店や露店などでは買わないように市民に呼びかけている。(2008年9月記・医学博士・医師(中医学)藤田 康介)
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