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生薬の適正な分量配分に役立っている小袋方式

 1枚の処方に書かれている生薬を、いかに適正な量で正しく調合して患者に渡すかは、中国の中医薬局にとっては大きな課題だった。これまでの方式では、まず1~2週間分の生薬をまとめて計量して、それを「適当」に分配していたところが多かったが、実際は薬剤師の勘と経験によるため、患者からも1日の生薬処方の分量が違うというクレームが多かった。そこで、各地の中医病院で実験的に行われているのが、小袋方式である。ではその成果はどうであっただろうか?
 中国国家中医薬管理局では、すでに全国19カ所の病院の生薬薬局を小袋方式の実験薬局として指定した。小袋方式では、ビニール袋のなかに予め3グラム、6グラム、9グラムなど決められた単味の生薬が包装されていて、生薬名もラベルに記載されている。こうして、薬剤師が処方に合わせて袋を組み合わせる方式で調合される。1年間にわたって実験が行われた。

 その結果、上海中医薬大学附属竜華医院や武漢市中医医院では、100枚あたりの処方箋に含まれている生薬の単味あたりの重量誤差が、5%以内に収まったという。また、生薬に包まれている透明ビニール小袋には、生薬名・重量規格・煎じ方(先煎、後下など)なども記載されているため、患者にとってもわかりやすい。さらに、薬剤師にとっても調剤するスピードが大幅に速くなった。実験では、10名の薬剤師が100枚の処方を調合するスピードが、処方1枚あたり平均5分30秒となり、従来の4倍近い速さになったという。

 ビニールの小袋に生薬を予め分類することにより、滅菌処理をしたり、乾燥させたりすることが容易になり、生薬の品質保持につながっている。さらに調合時に漏れ落ちる生薬の浪費を減らすことに大いに貢献しているとしている。
 
 実際に現場を見てきた筆者からすると、今度はビニール袋が多く使われることから、新たな環境問題にならないか心配でもある。しかし、今まで雑然と生薬が散らかっていた中国の生薬薬局が、小袋方式ですっきりきれいに整理された点は特筆に値するだろう。(2008年9月記 医学博士・医師(中医学) 藤田 康介

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