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「看病難」「看病貴」の問題をどうするか、国務院が意見公募
中国政府は、「看病難」(診察を受けるのが難しい)、「看病貴」(治療費が高い)などの懸案となっている医療問題に対して、国務院の温家宝総理が中心となって『医薬衛生体制改革に関する意見について』の意見書を審議し、その結果を広く国民に意見公募している。
中国では現在、病院など医療施設の改善が進み、ハード面ではかなりよくなったと評価される。しかし、相変わらず専門家に診察をしてもらうには、長時間にわたる予約待ちの問題と、公的保険制度が十分でないことによる医療費負担の増加問題が深刻化している。そこで、国務院の発展改革委員会、衛生部などが改革のために2年間にわたっての研究を進めていて、このほど意見書が出されたことになる。
この中で、まず医療制度改革について述べられており、2020年までに都市部・農村部の住民に対して、基本的な医療制度と医療サービスを普及させ、健全な社会保障体制を確立させることを明記している。さらに、一般住民に対して、安全かつ有効で、さらに廉価な医療サービスを普及させるべきだとしている。そのために、以下の5項目に対して、改革が必要だと列記された。
1.都市部・農村エリアでの基本的な医療保障制度の確立。特に、公的保険加入者を増やし、流動人口に対する公的保険制度も確立させる。
2.中国の国情にあわせた基本薬物制度を定め、科学的かつ合理的に基本的な薬物が使えるようにする。基本薬物に関しては、医療費の抑制を考え、患者の医療費負担削減を目指す。
3.農村エリアの衛生院、村衛生室、都市部の社区衛生サービスセンターの建設を進め、地域医療サービスの充実を図る。
4.基本医療の役目を果たす公共医療サービスの各地域での均一化を目指す。特に、医療サービス向上と効率化が急務。
5.公立病院の改革を進め、公立病院の管理体制・運営システムを見直し、政府による財政支援、収支の管理強化、診療行為の規範化を目指す。
まだまだ中国では地域による医療レベルの格差が大きく、都市部に医療資源が集中しているという問題もある。都市部では医師が足りていても、地方では極端に不足しているという現実に対しても、今後医療制度の改革が期待されている。(2008年9月記 医学博士・医師(中医)藤田 康介)
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