中医学の東洋学術出版社：中国最新情報

　上海市では、地域医療に中医学の導入を進めているが、2008年8月に中西医結合全科医学専業委員会が設立された。会長には、上海市普陀区衛生局の花根才局長が就任した。
　「全科医学」は、日本も含めて西洋医学では近年注目されてきた学科で、家庭単位に個人を中心として、地域社会全体で住民の健康保持や医療を行うというもの。特に、医者に対しては、専門科にとらわれない広い医学知識と技術が求められる一方で、医療費の節約の意味合いもある。これに、「整体概念」や環境と人体との関係を重視する中医学を取り込み、未病を治すという発想で西洋医学と中医学の併用を目指す。背景には一部はで専門に分化しすぎた中医学に対する見直しや、地域医療として中医学を活用しようという取り組みとも関係があるといえよう。

　今後、上海では社区衛生サービスセンターでの全科医師の育成、全科向けの中医学医療技術の向上をめざし、市民の健康レベルの向上と普及を目指すとしている。（2008年8月記・医学博士　医師（中医学）　藤田　康介）