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涼茶を飲料水として飲むべからず

 もともと華南エリアの伝統的な飲み物であった涼茶が、今や中国全国で大流行している。確かに、温暖化の影響で中国の都市部が暑くなったことと関係があるのだが、それよりも飲料企業各社が涼茶を新しい戦略商品として売り出していることとも深く関係がある。しかし、こうした現象に中医学の専門家たちは注意を呼びかけている。
 もともと涼茶の中には、体を冷やす寒性の生薬が多く用いられていて、広東人の間でも、虚汗・貧血・月経期の女性などは飲まない方がよいといわれている。また、健康な人も水を飲むようにガブガブ涼茶を飲むのは望ましくないともいわれている。

 生薬を原材料に作られた涼茶は一般に清熱解毒・去火去湿の作用を持っている。しかし、現在人の社会では空調が普及し、設定温度を下げるため、むしろ陽虚状態の人が夏場に増えるのが現実だ。特に、冷やした涼茶はかなり冷やす力が強く、下痢などの症状を訴える人も少なくない。寒性の体質であったり、胃寒・脾虚であったり、虚弱体質であればなおさらだ。

 缶入り涼茶を製造している『王老吉』の広東加多宝飲料食品有限公司でも、涼茶は主に中国南方地方の気候にあわせて飲まれているもので、一般的に華南地方の人なら、その飲み方や注意点を伝統的によく知っているとしている。決して、水のようにガブガブ飲むものではないといっている。

 中医学の伝統的な夏場の飲み物として、涼茶は人気が高いが、それ以外にも夏場に飲むとよい菊花茶・決明子茶・緑茶などのお茶類、夏場のもたれた胃には百合根・緑豆・ヨクイニンなど除湿健脾の作用がある食材を使ってみるのもいいかもしれない。(2008年8月記・医学博士 医師(中医学) 藤田 康介

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