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生薬の保護、中国が国家プロジェクトとして生薬種の保存へ
中国医学科学院薬用植物研究所にて、中国で初めての現代化された国家薬物植物種資源庫が2008年6月に設立された。世界でもまれに見る規模の薬用植物の種子保存庫で、中国国内の生薬資源の保護を目的とし、生薬資源の安定供給に大きな役割を果たすと期待されている。現在、環境破壊などが原因で、中国では生薬の種の保存問題が深刻化している。
1200万元を投資して設立された「中国国家薬用植物種質資源庫」は、45年~50年保存可能な倉庫1つに25年~30年保存可能な倉庫2つからなる。ここでは併せて10万個分の種が保存できるとしている。また、同時に中国国内で収集される植物資源の整理も行っている。これまでに2万個分の種が収集され、1017種類の種子が50年間保存されることが決まった。
こうした種子の保存は、中医学の発展と、優良な品種育成に欠かせず、これまでも肖培根院士などが国内8000種類の種子の収集・保存・調査・整理研究を行っており、280科類、5282種類の薬用植物の保護に成功した。このうち、243種に関しては絶滅が心配されており、海外からも150種類導入したという。
中国医学科学院薬用植物研究所では、さらに北京・雲南・広西の3カ所で、薬用植物専用の植物園の建築を進め、熱帯・亜熱帯・温帯の異なった気候での植物保護に力を入れている。世界最大規模という。ここでは、絶滅の危機にさらされている薬用植物の移植や遺伝子の保護なども行われている。(2008年8月記 医学博士・医師(中医学)藤田 康介)
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