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夏場に盛んな中医小児科の『冬病夏治』で喘息治療

 冬に発作を起こす子供の喘息は、中国でも最近よく見かけるが、慢性でかつ発作性の疾患としてさまざまな治療の試みが行われている。そこで、近年とくに人気が高いのが、中医学の『冬病夏治』の学術思想を応用した治療法で、この中には経穴敷貼・経穴注射・薬膳などを組み合わせている。小児喘息以外にも、慢性の咳や反復性の呼吸器感染、間質性肺炎などにも有効であるといわれている。
 小児喘息は、2歳以降の子供によくみられ、とくに季節の変わり目に発作を起こしやすい。反復的に咳をし、朝夕には咳の発作が著しくなる。そこで、まずよく行われるのが経穴敷貼である。消化器から吸収しないので、簡単で安全というメリットもある。一般に、生薬を配合した粉末をワセリンやごま油を使って膏薬状にし、「餅」のようにして背中や胸の経穴に貼り付ける。主に、宣肺通絡・化痰止咳の作用があり、場合によってはこの「餅」に電極を貼り付け、加熱させて化痰去瘀血通絡作用を強化させることもある。一般に、1週間に1回治療して、これを4~8回ほど繰り返す。4歳以下の子供に関しては、さらに1週間に2回~3回と回数を増やし、1回の治療時間を2~4時間とする。さらに黄耆などのアンプル剤を相応する経穴に注射することもある。これにより、長時間にわたって経穴の刺激ができるほか、こうした生薬によって免疫力を高め、抗アレルギーの作用も強化できるという。
 そのほか、主に上海エリアでは冬場に処方する膏方を、夏場にも処方して効果を上げている病院もある。膏方は通年服用できるほか、子供にとっても服用しやすいというメリットがあるほか、弁証論治に基づいて処方できるという点も大きい。ただ、夏場に処方する膏方とは若干方向性が違っていて、冬場は大補気血が中心だが、冬場は主に陰陽のバランスをとることを中心に考える。そのため、養陰では、北沙麦・麦冬・玄参・枸杞・黄精などを使い、涼血活血としては赤芍・牡丹皮などを使う。この時期、こうした膏方をつかって陰陽バランスを調理すれば、来る秋冬にも体質が改善されて風邪なども引きにくくなるといわれている。
 もちろん、夏風邪をひいてしまったり、舌苔が厚膩苔であり食欲がなかったり、発熱して扁桃腺が腫れている場合は、まずそちらの治療を先に行うことが大切で、これは冬の膏方と同じ。
 そのほか、薬膳としては鳩と黄耆を組み合わせた黄耆鴿子湯は補気固表作用があるほか、大根と蜂蜜を利用した大根蜂蜜飲も潤肺潤腸作用がある。鳩は中国でよく使われる食材のひとつ。(2008年8月記・医学博士・医師(中医学) 藤田 康介)  

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