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中国、医学部受験が低調

 9月始まりの中国では、この時期大学の合格発表があり、受験生たちが一喜一憂している。しかし、今年も相変わらず西洋医学・中医学に限らず医学部受験生の受験者数が伸び悩んでおり、医師不足による募集拡大にも関わらず、第一希望者(第一本)の募集にも点数を満たした受験者が十分に集らなかったという現象も発生している。例えば、広東省の名門、南方医科大学や広州中医薬大学でも同様に定員を下回る結果となった。
 背景には、医学部受験を敬遠する受験生やその父兄がいることを忘れてはならない。受験生の募集がはじまる5月ごろにも、中国のインターネットで「医学部を受験してはならない」というような書込みが増え、中国のマスコミを賑わした。その理由として、医師の待遇の改善と職場環境の改革が進んでいないことが大きいとしている。

 一般に、大卒の新米医師の場合、待遇は600~1200元(1万~1万5千円程度)であり、さらに夜勤の問題もある。これでは、結婚して住宅すら買えないという現実的な問題がある。実際、医療関係者に忙しさのあまり体調を崩したり、精神的な病気になったりする人が増えてきているのも事実だ。医師に限らず、看護師も同様な状況で、最近ではさらに待遇の良い海外の病院へ流れていく看護師も増えている。また、大学を卒業したインターンの医学生でも、実習時にすでに「将来は医者にならないので、あまり厳しく指導してほしくない。」と指導教官に訴える学生も少なくない。こうした学生の多くは、医療機器メーカーや製薬メーカーへの就職を希望している。

 上海市の場合、学部卒業レベルでの医療現場への就職は難しくなってきており、修士・博士号以上の学歴が求められるようになってきた。また、受験生も5年制の医学部よりも、7年制~8年制のより高度な知識が学べる医学部への入学を望むようになっているという。大学生の就職難という現実に立ち向かうためにも、受験生の理知的な専門選択がますます求められている。西洋医学の医学部の入学ボーダーラインが中医学系よりも高いのもそうした背景と関係があるのだろう。(2007年7月記・山之内 淳

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