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端午の節句、もともとは疫病予防と関係

 屈原を偲ぶ年中行事の一つでもある端午の節句は、中国の場合旧暦で行われ、2008年は6月8日だった。この端午の節句には、疫病予防という意味合いから、古くから様々な習慣が継承されていて、現代の中国でも実行されている。
 
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 日本では、新暦の5月5日が端午の節句となっているため、気候的にはピンと来ないかもしれないが、旧暦の5月5日は、初夏の陽気になり、伝染病が流行しやすい環境になっていることと関係がありそうだ。

1.艾・菖蒲で虫除け(写真)・・・・端午の節句前後になると、上海市内の市場では艾や菖蒲が販売されるようになる。これは、魔除けのためにも玄関に掲げられる習慣からのもので、いずれも虫除けの作用があると考えられている。艾、菖蒲ともに葉っぱに揮発油を含んでおり、独特の香りがある。そのほか、白芷・蒼朮・艾葉などの生薬を使って、部屋を蒸する(煙薫)ことも広く行われる。いわゆる蚊取り線香的な発想とも言えるが、生薬をつかったこの方法で蚊やハエを退治する目的がある。そのほか、芳香類の生薬を袋に詰める香囊も端午の節句に欠かせない。様々な生薬を粉にして袋に詰め、虫除けのほかに体臭を消す働きもある。

2.薬草風呂に入る・・・・初夏になると、皮膚病が多数発生する時期になる。そこで、この時期に様々な薬草風呂に入る習慣がある。伝統的には蘭草や艾を浴槽に入れて入浴する習慣があった。特に、蒸し暑い広東省など中国南方エリアに伝わる文化で、今でも決明子や芦根・金銀花・菊花など清熱解毒剤を中心にした薬浴が行われる。生薬の外用利用の基礎があるともいえよう。
  
 一方で、端午の節句を前後して、「涼茶」が飲用されるようになる。これも中国南方エリアで盛んな習慣だが、体内の熱を冷まし、暑気を取り除き、喉の渇きを潤してくれる生薬を使う。「涼茶」は香辛料などスパイスが効いた火鍋などでも好んで飲まれる。これには「降火」の作用があるからだ。

 端午の節句のユネスコ世界無形文化遺産登録では、韓国に先を越されてしまった中国。2008年度から端午の節句が祭日になり、中国主導での登録を今後も目指すという。(2008年6月記・山之内 淳

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