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IgA腎症の中医治療に一定の効果
中国工程院院士、中国人民解放軍総医院陳香美教授らのグループが行った研究で、このグループが開発した中成薬である「腎華」が、気陰両虚タイプのIgA腎症に対してACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)と同等の薬効と安全性があると証明され、すでに中国当局の特許も取得した。現在、二重盲検試験など新たな臨床試験が行われている。
IgA腎症は、中国でも最もよく見かける慢性腎疾患で、尿毒症にまで発展するケースも多い。陳香美教授らのグループでは、IgA腎症の中医学的証候と腎臓の病理的変化を関連付け、中国におけるIgA腎症の多くは気陰両虚が最も多いとした。その上で、病気の発展とともに、脾肺気虚→気陰両虚→肝腎陰虚→脾腎陽虚と変化する規則性を発見した。
さらに、中医学と西洋医学を併用したIgA腎症の治療において、メサンギウム増殖と気虚には関連性があり、メサンギウム基質産生と糸球体硬化は陰虚と関連性があり、気陰両虚証はこれら病理学的変化の程度によって違いが出てくるとしている。病理学的変化と中医学の証候を結びつけた点には、新しい観点として中国で注目されている。
グループの研究では、これまで1016例のIgA腎症の中医証候の調査を行い、腎生検の結果と西洋医学的検査資料を結びつけ、中国で最大のIgA腎症データーベースを構築した。さらに、IgA腎症の血管病変と高尿酸血症の特徴を分析し、中医学と西洋医学を併用したIgA腎症の基礎を作ったとしている。
さらに、分子レベルでの研究も進められ、中成薬「腎華」には、尿蛋白を減少させ、腎臓を保護する働きがあるとし、細胞因子MIF・MCP-1・ICAM-1・VCAM-1、TGF-β・CTGFなどをコントロールし、JAK-STATシグナル経路を抑制することにより、炎症を緩和させ、腎臓の病理的ダメージを軽減するとしている。
こうした研究成果は、すでに中国国家中医薬管理局により認定され、中国中西医結合学会科学技術1等賞を授賞している。(2008年4月記 山之内 淳)
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