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2007年医学10大躍進

 医学分野における発見は人々が最も注目する話題の1つであるが,このたびアメリカの週刊誌『TIME』は2007年の医学分野における10大躍進を選出した。
1.包皮の環状切除はHIV感染予防になる
外科的に包皮環状切除術(Circumcision)を受けた男性は,同切除術を受けていない男性に比べ,HIV感染率が51%低いことが明らかになった。


2.乳がんの高速検査によって転移の有無が判断できる
新型分子測定検査によって乳がんの初回手術時にリンパ腺の精密かつ正確な検査を行うことができる。従来,検査結果が出るまでに時間がかかり,また再度手術を受けなければならなかったが,高速検査によって,悪性腫瘍が見つかれば,ただちに悪性腫瘍に侵されたリンパ腺を摘出することができるようになった。


3.ヒト用鳥インフルエンザワクチンが登場
FDA(米国食品医薬品局)は,鳥インフルエンザウイルスが変異しヒトに感染する新型インフルエンザが発生し,世界規模で爆発的に流行することを憂慮し,ヒト用ワクチンをはじめて承認した。ワクチンは,2回に分けて筋肉注射で接種される。


4.食後のAlli服用で脂肪を30%カット
Alliという新型ダイエット兵器が登場した。Alliは,FDAがアメリカの店頭で販売することをはじめて認可したダイエット薬である。サルから抽出した脂肪分解酵素が作用し,食物中の脂肪を分解・消化するという。Alliを食後すぐに服用すると,人体の脂肪の吸収率が30%減少するという。


5.新たな糖尿病遺伝子を発見
ある科学者が4つの遺伝子変異を発見した。これらは糖尿病の罹患リスクの増加と関連している可能性があるという。


6.月経の回避が現実に
ほとんどすべての女性が月経の煩わしさから開放されたいと考えていると思うが,FDAがはじめて連続服用を承認した避妊薬Lybrelには,月経を回避できることが実証された。


7.筋肉痛にサヨナラ
人々は慢性疲労や筋肉痛・コリを感じることが多く,最終的には薬物によってこれらの症状を緩和している。FDAは今年,Lyricaという薬剤の発売・使用を認可したが,試験の結果,同薬剤は筋肉痛やだるさを軽減させるだけでなく,患者のQOL改善に顕著な効果があるという。


8.早期肺がん診断が容易に
米国で最も死亡率が高いがんは肺がんである。肺がんの死亡率が高い原因は,一般的に肺がんと診断されるときには,すでにがんが進行してしまっていることが多く,治療が難しいという点がある。最新の血液検査では,早い段階でがんに罹患しているかどうかを正確に診断することができるという。同検査は,肺がんの各段階における,血液中のタンパク質含有量を測定するものであり,この値は健康な人では非常に少ないという。


9.幹細胞は羊水から獲得
今年は,幹細胞,特に羊水をテーマにした研究分野において大きな成果があった。研究員らは,羊水から採取される幹細胞(AFS)は,人体内に含まれている220種類以上の幹細胞の,すべてではないが大多数がもちあわせている潜在能力を有すると考えている。そして,卵細胞から人へと変化する間のAFS幹細胞間で,この作用を発揮するとみられている。最も重要なのは,AFSは比較的採取しやすいという点である。


10.ビタミンDはがんの罹患率を低下させる
「陽光ビタミン」の別称をもつビタミンDの長所は,すでに広く知れわたっているが,2007年の最新の研究成果によると,ビタミンDには,さらに多くの長所があることが証明された。ビタミンDを豊富に含む飲食は,糖尿病・口腔疾患・多発性硬化症,さらにはがん発生率をも減少させるという。また,血液中のビタミンD含有量が比較的高い人は,一般の人に比べ肝がんの罹患率が半分になるという。

(中国中医薬報 2007.12.21 平出由子)

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