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『中薬の登録管理に関する補足規定』の制定

 中国国家食品薬品監督管理局と中国国家中医薬管理局によって起草された『中薬の登録管理に関する補充規定』の原案が完成・公開され、社会各界の意見を求めている。その中でも特に、かねてから問題があると指摘されていた、生薬を使った新薬の登録に新しい取り組みがみられる。
 この規定では、中医薬の特色を生かした新薬の研究を行えるようにすると同時に、中医学理論に沿った安全かつ安定した品質の生薬を開発し、さらに生薬原材料の安定供給を目指すとしている。
 原案のなかで、生薬の複合方剤は、①昔から使われている古典をもととする(古方)ものと、②証候の治療を主な目的とするもの、③さらに最近よく見られる病と証を結合したもの(「病」は中医の病あるいは症状と現代医学の疾病を指し、「証」は中医の症候を指す)の治療を主な目的とするもの、の3種類に分類される。

①古方をもとにした複合方剤は、毒性のある生薬や絶滅の危険性がある生薬を含まないこと、製剤の過程や服用方法も古典の記載と一致すること、重篤疾患や子供・妊婦には使用しないこと、使用する生薬は法律が定める安全基準の範囲内であることなどが定められている。そして、国家中医薬管理局などの関係機関がこれらの条件を満たした古方の目録を作って公表するという。また、説明書の中に「効能・主治は古代文献によるものであり、系統的な現代薬理学的研究および臨床試験を行っていない」ことを明記しなくてはならないとしている。
 ②証候が主治の複合方剤については、その治療評価は中医学の証候にもとづいていなくてはならないとし、同時に証候に関係する疾病への影響も観察しなくてはならないとされる。また、証候に対する治療効果の臨床試験はさまざまな研究方法を用いて、科学的に行われなくてはならないとしている。臨床応用での経験をもとに処方される生薬は、これまでの臨床経験に沿った製剤方法や量であれば、非臨床安全性試験の資料を提出するだけで、直接第Ⅲ相の臨床試験を行ってよいとしている。
 ③病と証を結合したものを主治とする複合方剤に対しては、十分なデータをもとにして、臨床応用経験に沿った製剤方法を採用すれば、臨床前に非臨床安全性試験の資料を提出するだけで、第Ⅱ、第Ⅲ相での臨床試験を行ってよいとしている。

 また、主治とする病証がまだ国家が批准する中成薬の中の新しい部類の複合製剤の中に記載されていないもの、中医学理論をもとにした新しい研究で組まれた処方や新しい治法治則を採用して際立った効能をもつもの、などの複合製剤については特殊な審査が行われる。

 これ以外にも、既存方剤の服用方法を変更せずに薬剤タイプのみを変更する場合の登録方法などについても明記されている。
 また、チベット医学など少数民族の処方開発に関しては、条件の整った製薬会社が、それぞれの伝統医学の理論にもとづいたものを生産しなくてはならないと規定している。(2007年10月記 中国中医薬報より抜粋 山之内 淳

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