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10元の処方代で医師の収入を改善できるか?

 中国の病院は地方や中央の政府などからの助成が非常に少なく、医薬品代から一定の利益をあげる必要がある。しかし、この方法では医療費の削減を目指す政府の方針とは合わず、また市民にとっても医療費の負担が重くのしかかる。そこで、中国衛生部では、患者1人につき10元(約160円)の処方代徴収制を導入することにより、医師の処方箋に対する労働対価としようとする動きがある。患者には薬代を安くする代わりに、処方代として負担してもらうというわけだ。
 現在の方式は1950年代から続いており、当時は政府が財政困難であったため、病院が収益をあげるための方策として実施された。病院が仕入れた医薬品に対しては、一般的に15%のマージンを加えて、患者に販売することが認められていた。しかし、それは製薬会社による医師への賄賂を助長し、病院によっては医薬品の価格を不当につり上げて患者に販売したり、医師も患者に対して高価な医薬品を処方するなどの結果を招いた。

 現在では、中国も経済発展し状況が変わってきた。中国衛生部のスポークスマンによると、中国では現在医療制度改革を行っており、その中で「医薬品代にたよって病院を養う」方式を廃止させる方針を明らかにしている。
2006年の統計によると、公立病院には政府から病院の総支出に対して11%の補助金が出されており、この公的補助で退職金の基本的な支給はまかなえる水準だと考えられている。そして、そのほかの現役医師の給与や職員のボーナス、設備代、建物の改造費等については、病院自身の利益から支払うようになっており、その51%が医薬品からのマージンによって占められている。
 衛生部はこれらの統計結果から、患者1人あたりに対して10元の処方代を負担してもらうことで、病院の医薬品代によるマージンへの依存度を下げたいと考えている。これを廃止することにより、患者の公的医療保険などの医薬品に対する負担額も削減できるとしている。ただ、実際には病院側の反発も予想されており、実施されるかどうかは不透明な情勢だ。(2007年9月記・山之内 淳

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