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救急の現場で使われている参附注射液
紅参と附子の有効成分で作られたアンプル、参附注射液は、北京朝陽医院・北京安貞医院・北京市心肺血管疾患研究所などでその有効性についての研究が行われていて、救急科で実用化されている。とくに、ショックや心不全、冠状動脈アテローム硬化性心疾患、多臓器不全などの緊急時に重要な役割を果たしているとして、研究が続けられており、一定の成果が得られている。
参附注射液は、2003年より中国衛生部科技中心と三九医薬が合同で研究基金を設立させ、基礎研究と臨床研究を行っている。
北京朝陽医院の救急科では、李春盛教授らのグループが中心となって、「参附注射液のショック時の血流力学と酸素代謝への作用についての基礎と臨床研究」を行い、血液量減少性ショックと心原性ショックの患者に対して、参附注射液を使ったグループとドパミンを使ったグループと比較したところ、ドパミンを使ったグループは、心拍出量・酸素消費量が増加し、酸素摂取率が減少した。一方で、参附注射液を使ったグループは、上記の効果がさらに明らかに観察され、ドパミンのもつ肺動脈楔入圧(PAWP)と心拍数の増加が見られなかった。
北京安貞医院・北京市心肺血液疾病研究所の張兆光教授らのグループは、分子レベルで参附注射液の効能を研究している。この中で、参附注射液は、心筋への血液再灌流時における心筋細胞の構造とミトコンドリアの損傷に対して、保護作用があることが認められた。その結果、心筋細胞組織におけるアポトーシスを減少させ、心筋細胞アポトーシスの原因ともなっているアポトーシス誘導因子BAXの表現を低下させた。さらに、血液再灌流時における過酸化脂質による損傷、乏血時に白血球が重合して炎症反応が起こることを防ぐこともわかった。また、血液再灌流時に細胞内のカルシウム過剰状態を抑制する働きも確認されアトポーシスの発生を抑えるものとみられている。(2007年9月記 山之内 淳)
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