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小児科の治療に活用される中医推拿の「捏脊法」
中医学の特色ある治療法の一つに中医推拿の中の手法の一つである「捏脊法」がある。特に中国では中医小児科の推拿で多用されている。針灸などと違って痛みを伴わないため、子供に受け入れられやすい。
「捏脊法」は、やり方さえ覚えられば、親御さんにも比較的簡単にできる。主な効能は、疏経通絡・調理陰陽で、気血の働きを促進し、臓腑の働きを改善する。特に脾胃の働きを高めることができるとされている。また、「捏脊法」の特徴として、小児科特有の消化不良や慢性の下痢などの疾患に対して、比較的早く効能が見られるという点が挙げられる。
「捏脊法」は、もともとは「捏脊骨皮」とも言われていた。督脈や太陽経を直接的に刺激してあげることにより、胃腸の働きや消化吸収を助けたり、免疫力を高めたりする作用がみられる。そのため、喘息・嘔吐・下痢・食欲不振・消化不良などの症状がある子供に対しては、薬などを服用しないで治療する方法として、中国の中医小児科などでは広く応用されている。
具体的には、まず子供を仰向けに寝かせる。捏脊する部位は、背中の中心線の両側で、ちょうど両手で脊柱の両側を下から順につまむように尾骶部から項枕部へ移動させていく。ちょうど督脈がある位置で、経穴で言えば長強穴から大椎穴に相当する範囲だ。力を入れて背中の筋肉をつまみ上げる動作のことを提法といい、経穴に対する刺激を強めることができる。捏法とは、親指と人差し指、中指の指先を使って背中の筋肉を順番に挟んでいくことをいい、特に捏法三回と提法一回の組み合わせを「捏三提一法」という。さらに推拿の手法である揉法を使って腎兪穴・脾兪穴・胃兪穴などを刺激してあげるとよい。力の入れ具合は、背中の肌の色が若干赤くなるぐらいが望ましい。
注意事項として、「捏脊法」は空腹時にすることが多い。食後の場合は、2時間ほど時間をおいてから施術するのが望ましいとされている。また、子供の背中部分を平坦にし、リラックスするようにしてあげることが肝要だ。なお、虚弱体質の子供に対しては、あまり長時間にすることなく、3分~5分ぐらいに抑えて置くことが望ましい。(2007年7月記 山之内 淳)
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