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ドイツで人気の出てきた中医学、メインは針灸
ドイツで最近、中医学が脚光を浴び始めている。ドイツのテレビ番組(RBB放送)などでも30分間にわたってドイツで受けられる中医学治療についての紹介番組があるなど、市民の関心が高いことが分かる。
ベルリン最大の総合病院の一つであるのCharit医院に、2007年5月に開設された中医外来も、そんな中医治療が行われている医院の一つで、中国の記者が取材に赴いていた。中医治療を担当しているBenno Brinkhause博士が質問に答えている。
もともと循環器系の専門家であったBrinkhause博士は、WHOの助成を受けて、1994年より北京で中医学の勉強を始め、中医学の魅力にとりつかれたという。病気を中心に考える西洋医学に対して、人間を中心に考える中医学に大きな違いを見いだしたという。さらに、中医学では人と自然環境、社会環境を結合させ、治療を行っていく。
Brinkhause博士は、中西医結合方式の治療が理想的であると考えている。中医学の整体概念を取り入れることにより、特に慢性疾患に成果をあげているという。また、ドイツ人も自然治療的な中国伝統医学に関心を持ち始めている。
ドイツの衛生部門の調査では、ドイツで中医学を利用する患者の数は年間200万人に達しており、その数は増加傾向にあるという。ただ、まだ政府関係機関は中医学に対して懐疑的な態度を持っており、未だ完全な公的保険は利用できない。さらに、ドイツにおける針灸治療費の相場は1回で25~80ユーロで、決して安いものではない。それでも、ドイツ人の中医学に対する熱は冷めず、現在一部疾患に関して公的医療保険を導入する動きが出始めている。手始めとして、2006年10月から頭痛・腰痛・関節痛の3種類の疾患に対して公的医療保険が使われることになった。
ただ、こうした動きは針灸分野のみにとどまっている。生薬に関しては、まだまだ西洋諸国の認可を得ていないのが実情だ。特に中国の生薬に関しては、信頼性が低いという態度が多い。中国本土では、中医学治療の80%は生薬が担い、針灸に関しては15%程度と生薬が圧倒的だ。一方で、ドイツでは針灸が80%以上を占めており、逆転している。このため、針灸に偏重して生薬を取り扱わなければ、中医学全体としての治療効果を上げられないと危惧されている。(2007年7月記 『青年参考』より 山之内 淳)
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