中国,日本の薬膳ブームに続いて,いま,韓国でも薬膳がブームになっています。去る11月26日,釜山の海雲台BEXCOで,「第1回薬膳シンポジウム」(主催:大韓薬膳研究会)が開催されました。
日本からは,本草薬膳学院学院長・日本国際薬膳師会会長の辰巳洋が招かれ,「日本薬膳の現状と問題」について講演しました。さらに同学院はヨンサン大学校と薬膳分野における教育活動・学術交流について協力関係を結ぶことに合意しました。
テレビや本などで知られているように,韓国では昔から中国医学,特に『本草綱目』の影響で民間経験を通した薬房(薬店) 医学が発達してきました。1596年には,李氏王朝の宣祖の命によって,許浚・楊禮壽などが内医院に編纂局を設置して,15年間の歳月をかけて,中国の「漢方」理論にしたがった『東医宝鑑』を編纂しました。この本には,内科・外科・皮膚科・小児科・針灸・按摩・薬などについて詳細に書かれています。特に韓国の薬草を分類しその効能を詳しく書いてあります。
また,19世紀半ばの医学者・李済馬(1838~1900)は『東医寿世保元』という書を著しました。彼が提唱した「四象医学」という独特の学説は,人間が,太陽・太陰・少陽・少陰の4種類の体質に大別されていることを強調したものですが,この理論はいまの韓医学にも強く影響しています。
今回の大会で,主催の大韓薬膳研究会の朴会長が,「四象医学を利用し体質の鑑別法」という講演を行いました。そこでは,三陰三陽,精気,形体,春は少陰人,夏は太陰人,秋は少陽人,冬は太陽人などについて述べられました。
1951年,韓国で「漢医師制度」が成立し,中医薬も1つの医療体系として認められました。1986年の医療法改正により「漢医学」を「韓医学」と変更し,現在は,「韓方」「韓医」と呼ばれています。韓国には,2000年11月までに11の韓医科大学があり,韓医科大学を卒業後,国家試験に合格すれば「韓医師」になります。
韓医学の特徴は,韓国の実状に合わせ,国産の薬材や食材の重要性を強調していることです。今回のシンポジウムの会場にヨンサン大学調理部の学生が作った薬膳の作品が展示されましたが,案内していただいたチャ先生が「これらの作品はみな韓国産の米で作ったものです」と胸を張っておられたのが印象的でした。
また,中国同仁堂研究所の張静所長が「中国薬膳の現状と発展方向の研究」について講演しました。
今回の大会は,韓国ではじめて開催された薬膳シンポジウムですが,300人ほどの参加者が熱心に発表を聞き,展示されている薬膳料理を試食しました。(海洋)
出典:東洋学術出版社
担当:海洋