末期肺癌患者が、無資格気功師の治療をうけて10分後に気管が破裂して、出血多量で死亡してしまったという医療事故が発生している。10月10日に上海市閔行区検察院は非合法な医療行為であるとして、この気功師を訴えた。
この患者は、3年前に肺癌を患い、手術を受けた後、生薬治療で安定していた。ところが、2005年11月に症状が悪化し、11月8日に妻の紹介で気功師の治療を受けた。この気功師は運気を利用して疾病の治療をするという。
気功師の診断によれば、この患者はすでに病邪が膏盲にまで達しており、運気による治療を行えば、一定の効果が得られると説明し、気功師は治療を始めた。
気功師の治療は、自分の手のひらを患者の足の裏にかざすというものだった。治療終了後、患者や家族に対しては、体内の病邪がすでに打ち砕かれ、ゆっくりと養生すればよくなってくるだろうと伝えた。
ところが、10分もしないうちに、この患者は吐血し、病院に運ばれたものの、治療のかいもなく死亡した。
法医学の鑑定によれば、気功の治療を受けたことにより、外来の気体が原因で気管が破裂し、出血したことが原因であるとした。
さらに、この気功師はすでに数十年のキャリアを持つが、医師資格や医師登録をしていないことが発覚、起訴されることになった。
中国では、気功師も中医師の範囲に入り、医療行為を行う場合は、医師資格と衛生部門への登録が必要で、この両方がされていなければ、違法行為をみなされる。
出典:東方早報 2006年10月10日
担当:岸田 賢治