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上海の中医専門家も治療方案を策定へ
上海市でもすでに著名な老中医を含む中医専門家チームが結成された。そのメンバーについては本欄でもすでに紹介済みである。現在,上海市民の間では,中医薬に対する予防効果に期待が高まっており、生薬の需要が高まり,清熱解毒薬を中心に薬材が逼迫している。今回は現地新聞『青年報』において上海の SARS中医専門家チームの一人,上海中医薬大学の沈慶法教授が現在作成中の「中医学によるSARS治療予防に関する上海案」の一部を紹介している。
この上海案の中身は先に北京で発表された国家中医薬管理局の方案(本サイトでも紹介済み)がたたき台になっているようだ。具体的には、国家中医薬管理局の方案には書かれていなかった「腹瀉」の症状が,補足されている。最近の患者の傾向として,腹瀉が増加してきているためで、結果的に病位として「肺」のほかに「腸道」が付け加えられた。また上海で多く見られる初期症状の患者から、その病因病機に関しては従来の「疫毒時邪」のほかに「風熱の邪」も付け加えられた。
さて、注目されている予防方剤に関して、上海案では現在の中国全体での生薬需要の逼迫状況を反映して、国家中医薬管理局の方案よりもさらに種類を減らしたシンプルな方剤を提案している。同時に、一般市民が複数の方剤を目にしたとき、どれを選択すればよいのか判断に迷うケースが多いため、上海案では一般向けの予防方剤としては1種類だけを提案している。
SARS予防用方剤上海案
黄耆15g 白朮9g 防風9g 貫衆9g 陳皮6g
清熱解毒作用のある貫衆は中国ではインフルエンザの治療にもよく使われるが、現在、上海の薬局では品薄になっており,なかなか手に入らない。そこで代わりに虎耳草、山海螺、葎草など清熱解毒作用のある生薬を使うように提案している。
証の分類の仕方にも若干の変化が加えられるようだ。国家中医薬管理局の方案では初期、中期、極期、回復期の4段階に分けられているが、上海の方案では、症状の種類によって分類される見込みだ。例えば、熱中心の患者、咳嗽中心の患者、あるいは回復期の後遺症というように、臨床上で西洋医師でも分かりやすく広く使われるようにとの配慮がなされるという。具体的な方剤が発表されたときには,本欄でも改めて紹介しよう。(4月24日付け『青年報』を参照)
[2003年4月28日]
(山之内 淳)
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