[新華ネット4月21日]最近,北京の各医療部門は,次々と「SARS予防の中薬処方」を提案しており,それらが「SARS」予防に有効な役割をはたしているとされているが,問題点も浮かび上がっている。患者の体質や体調がそれぞれ異なるのに,同じ処方が使用されることによる弊害や,公開されている処方の大部分が金銀花を主薬としていることから,特定の薬材に欠品が生じたり,品質の悪い薬材が市場に出回ったりして,期待通りの効果が得られないという問題が発生している。また,不良薬材を使用した結果,腹瀉などの不良な反応が現れたりもしている。
中国中医研究院では,著名な陸広凡,周超凡,孔令 _,陳超,余瀛_,沈紹功,李俊龍,安邦_,楊力,劉宝玲,危剣安,楊金生ら十数名の専門家に集まってもらい,「SARS」の特異性に照準を絞った検討会を開催した。検討会では,現在はすでに晩春の時期に入っていること,今春の北京は比較的に湿気が多いことなどから,正気の扶助と_邪避瘟を原則とすることが話合われた。また,薬材が充足しているかどうか,価格を廉価に抑えられるかどうか,などの要素を考慮して,時宜に適った3つの処方を立案した。
中研 I 号処方:
連翹,桑葉,菊花,佩蘭,柴胡,芦根,桔梗各10g,生黄_,麦冬,甘草各5g。
若年で,比較的健康な者,中医弁証では陰陽平衡に属し,18~45歳までの者に適する。
中研 II 号処方:
生黄_15g,炒白朮,太子参,連翹,牛蒡子,柴胡,赤芍,玄参各10g,防風,甘草各5g。
年配者で体力が衰え,体質が比較的弱く,中医弁証で正気不足に属する者で,18歳以下,45歳以上の者に適する。
中研 III 号処方:
蚤休,板藍根,魚腥草各15g,連翹,柴胡,赤芍,太子参,淡豆_,佩蘭各10g,僵蚕6g,牛蒡子,甘草各5g。
頻繁に移動するため,人との接触が多い,あるいは感染しやすい状況にある者に適する。
以上3つの処方はそれぞれ水で煎じ,1日1剤を2回に分けて服用し,10~14日続けて飲むことが望ましい。この3つの処方は北京市及び北京市周辺地域の人々に適したものであって,他地域の人は,現地の医師に相談して,加減して服用することが望ましい。
中国中医研究院の中医外来は,東直門北新倉18号に,安全な薬に関する相談所を設け,市民の相談を受け付けている。〈相談受付〉64076063,84045426(秦秋)
[2003年4月30日]
訳者:北京中医薬大学日本人会 学術部
水野海騰(博士課程 鍼灸系)
高木俊秀(本科三年 鍼灸系)