中医学の東洋学術出版社：中国最新情報

中国では上海などの大都市でも、いまだに鍼灸の針を消毒して使いまわしているところが多い。医療保険の関係もあるのだが、もし使い捨て針を使いたければ、自分で購入するか医師に申告する必要がある。ところが最近、医療現場ではもちろんのこと、鍼灸によるダイエットなどが中国でも流行し始め、使い捨て針についての意識も高まってきた。
　上海市鍼灸学会理事長の張仁教授は、鍼灸治療で使われる針に関して、現在の消毒の過程では100%感染を防ぐことはできないとして、警告している。さらに、中国以外の国々では、鍼灸の針による肝炎やエイズ、性病などの感染についての研究が行われているのに対して、中国では医療サイドや患者でもまだまだ意識が低いとしている。
　中国の国家食品薬品監督管理局では現在、使い捨て針の使用を薦めているが、強制力のあるものではない。従って、一部の患者は自分で針を購入して、治療を受けているという現実もある。さらに一部の美容関係の施設では、許可証を取得せずに、非法な鍼灸美容を行っているため、中国での鍼灸針の衛生問題が心配されている。
　そこで、上海市衛生局では、全国に先駆けて使い捨て針を導入する予定で、関連する法律が制定されてたら、今年中にも上海の病院ではすべて使い捨て針が使われることになる。　

出典：新聞晨報　2004年8月5日より整理
担当：山之内　淳