中医学の東洋学術出版社：中国最新情報

　看護師の不足が深刻な上海だが、看護師の離職・転職問題も深刻だ。上海市の2級、3級クラスの総合病院を対象にした2100人看護師の調査のうち、46.6%がこれからも看護師の仕事を続けたいと答えた一方で、39.3%がチャンスがあれば、仕事を変えたいと答えている。ここからも分かるように、転職を考えている人が極めて多い。　

　また、調査対象となった70箇所の病院では、この5年間に3200人の看護師が病院を離れており、この割合は全体の12.8%を占める。　

　仕事を辞める理由に関しては回答の多い順番に、社会的地位が低い、仕事がきつい、待遇が悪すぎる、リスクが多いとなっている。　

　さらに、患者や家族からのストレスも問題になっている。例えば、看護師の間で発生する鬱病の割合も、1088人／10万人となっており、中国で一般の人々に鬱病が発生する割合の77～288人／10万人よりはるかに多い。患者と医療機関とのトラブルが多い中で、看護師の心理的ストレスが多いことは想像に難くない。　

　なにより、看護師という職業が、中国の社会で尊重されることが非常に大切だ。　

出典：東方早報　2006年5月13日　
担当：岸田　賢治