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中国で、中医学を法的に保護する動き
中医学の医療の中での位置づけをどのようにするか、というのは全世界が取り組んでいる問題でもある。欧米では主に「補完と代替医療」という形で中医学を扱っているところが多い。すでに一部の国では法制化が進みつつある。一方で、法律上は明確な位置づけはされていないものの、民間の治療法として管理されている国もある。
中医学の大本営ともいえる中国では、中医学は中国の医療体系の一部として認められており、法律的にも西洋医学と同等の立場にある。さらに、現在では西洋医学・中医学・中西医結合の3つの異なる学科として共存する方針が取られている。
この方針の下、医師資格も3つの分野に大きく分けられていることは注目に値する。その背景には、それぞれの医学の考え方根本の違いと、各科の医師を教育するためのシステムの違いが大きな影響している。湖南省中医執業医師資格試験の主席試験官、湖南中医学院の張炳填教授は、中医学は中医学独自の道を歩まなければならないとし、西洋医学の規準を中医学に取り込んではならないとしている。北京中医大学図書館長張其教授も中医学は高度な思考哲学であり、中国文化の真髄であるから、西洋医学の考え方でもって中医学を改造するべきではないと主張している。おのおのの異なった学術形態を保持すべきだという考え方が中心だ。
現在、中国大陸で叫ばれている中医学全体の抱える問題に対して、中医学を法的に保護しようとする動きが、最近中国で高まっている。すでに中国の国会に相当する「両会」にて今年、南京中医薬大学の王旭東教授が、中医学を保護するための法律制定の必要性を訴えた。この件に関して、すでに中国政府の関係部門は動き出しており、2005年4月4日より中国国家中医薬管理局では法整備ための事務局が開設され、専門家による討論が始まっている。その中で《伝統医薬法》の骨組みが作られつつある。現在、まだ起草の段階だが、3年から5年をめどに法制化を進める予定。
一方で、中国の各地域では、各地方政府が中医学を医療に積極的に取り組めるような仕組みを作りつつある。たとえば、貴州省では、農村地区に中医薬をつかった医療サービスを導入するためのネットワークを作る法律が制定された。この《貴州省発展中医薬条例》はすでに可決され、11月1日より施行される。これによれば、県クラスの人民病院では、各地区において中医学による医療活動が潤滑に行えるようにネットワークの充実を図ることになった。また、まだ農村部に多い医師資格未取得の中医師たちに対しても、その地区の農村などで医療活動が行えるような資格制度を構築するとしている。
出典:2005年9月 新華社、東方早報など
担当:山之内 淳
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