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生薬資源の問題、中国北方がピンチ 

 中国東北地方は、中国の生薬生産エリアのなかでも非常に大切な地位を占めている。しかし、2005年の東北地方3省の生薬貯蔵量は80年代と比較すると80%減少し、一部生薬が枯渇しだしている。また、東方地方の生薬の価格が年々40%から50%値上げしており、今後の先行きが気になる。

 中国東北部の生薬は、「北薬」と呼ばれ、品質のよい生薬として中国国内では人気が高い。1980年代の調査では、東北地方で採れる生薬の種類は1052種類あるとされ、そのうち商品として販売されている生薬は518種類、総貯蔵量は72億キロ、価格にして133億人民元に達するといわれていた。代表的な生薬では、麻黄・山参・人参・関防風・関竜胆・北柴胡・香柴胡・甘草・黄芩・刺五加などがある。

 しかし、皮肉なことにも、東北地方の生薬が有名になればなるほど、乱獲や環境破壊が進み、野生植物の産出量が年々減少しだした。その結果、最近では中成薬の生産に支障が出はじめたほか、中薬薬材の発展にも危機的な状態となりつつある。また、80年代には72億キロあった生薬貯蔵量も、現在では14.4億キロまで減少している。

 とくに、健康食品としても高い人気のある野山参に関しては、その貯蔵量は98%も減少しているほか、刺五加・甘草・遠志に関しても90%以上が減少した。また、動物系の生薬である麝香・林蛙に関しても、絶滅の恐れも出てきた。その結果、供給価格を直撃し、例えば五味子はキロ当たり40元程度だったのが、現在では100元近くになっている。遠志も倍以上のキロあたり120元になっている。

 確かに、農民の収入をあげるのにはもってこいかもしれない。しかし、それは短期的なもので、長期的には中医学全体に影響を与えかねない問題となる可能性が指摘されてきた。

 中国の政府各部門も生薬資源保護に動き出した。2004年12月に東北の三省が『野生薬材資源保護条例』を制定し、『野生薬材収購許可証』制度をはじめた。しかし、完全に効果が出始めるには、まだまだ時間がかかりそうだ。 

出典:中国中医薬報 2006年4月13日 
担当:山之内 淳


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