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広東省で増える中薬の輸入

 中国の独断場とも思われがちな中医学で使われる中薬だが、実は広東省では輸入が輸出を上回る現象が続いている。

 汕頭の税関の統計によれば、2006年上半期の広東省が輸出した中薬は4814万米ドルで、去年の同期と比較すると4.1%の減少となったほか、輸入は5957万米ドルとなり、3.1%の増加となった。ここからも分かるように、中薬の分野では、すでに輸入額が輸出額を上回っている。
 
 広東省が中薬を輸出する地域は、主に香港と日本で、香港へは2006年上半期で3082万米ドル(18.4%減)、日本へは682万米ドル(1.1倍)となっている。しかし、中薬の広東省への輸入では香港からがトップとなっており、2006年上半期では22.4%の大幅増加となった。
 
 この背景には、中国企業が、中薬分野で欧米市場の進出を目指している一方で、なかなか思うように進んでいない背景がある。米国でも、中薬は食品もしくは添加剤程度の扱いであり、医薬品として扱われているものはほとんど無い。

 また、EUでは医薬品に対する規制を強めており、現在では医薬品の成分データーを提出しなければ販売することができない。そのため、2005年度のEUへの中薬の輸出は前年比408万米ドル減の154万米ドルにまで落ち込んだ。2006年度はもっと落ち込むものと見られている。
 
 また、外国企業の中薬に対する知的財産権問題もますます深刻化し、これまでに900件あまりの中医薬関係の知的財産権は、中国ではなく、外国企業に取得されている。中国で生まれた処方も、どんどん海外へ流れている。 

 そのため、例えば日本の中薬市場でのシェアは全世界で80%を占める一方で、中国はまだ5%に過ぎないという現象もおきている。
 

出典:羊城晩報 2006年7月31日 
担当:山之内 淳


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