【読みどころ・その1】p58~63
| 李東垣が描いた火を主体とした生命観。 |
【杏林春秋】陰火学説を素霊難および脈診の観点から考察する(足立繁久)
金元四大家の一人,李東垣は陰火学説を提唱し補中益気湯をはじめとする処方を後世に伝えた。筆者は,李東垣が提唱した陰火学説は,脾胃損傷や中気不足に端を発しているためか,陰火の正体が判然としない印象を受け,ともすれば,初学者には陰火と陰虚や虚熱との鑑別も困難なように見受けられるという。そこで本稿では,『内外傷弁惑論』をテキストとして李東垣の言葉に耳を傾け,陰火についてその発生機序から再確認を行う。その手段として『素問』『霊枢』『難経』の身体観に主軸を置いて考察し,さらに脈診の観点から陰火病脈の理解を試みる。
【読みどころ・その2】p74~85
| 「冠元顆粒」の可能性。 |
【インタビュー】エイジングケアの基本は補腎+活血(東海林正弘)
横浜市南部で地域に密着したアットホームな漢方相談薬局を営む開気堂薬局。一人ひとりの訴えに対し,中医理論にもとづく弁証論治を実践して日々の臨床を行う。セルフメディケーションに欠かせない「未病先防」の考え方をベースに養生法の指導も行いながら,家庭の主婦が「わが家の救急箱」のように利用し,家族全員の健康管理ができるような薬局を目指す。代表の東海林正弘先生は,エイジングの基本は「補腎と活血」と語る。今年発売30周年を迎えた冠元顆粒の可能性も追求してきた。東西薬局代表・猪越英明先生が話をうかがう。
【読みどころ・その3】p128~135
| 鍼灸の経絡経穴教育は変われるか。 |
【インタビュー】日本の経絡経穴教育の現状と課題(髙橋大希)
鍼灸学校で使用されている現行の「経絡経穴」の教科書は,経穴部位が中心である。しかし,経穴の理解を深め応用へとつなぐためには,東洋医学における身体観や経穴の作用機序なども合わせて学ぶことが欠かせない。今回,教科書『新版 経絡経穴概論』の制作メンバーの一人であり,来春改定予定の東洋医学臨床論の教科書作成にも携わる東京衛生学園専門学校の髙橋大希先生に,日本の鍼灸学校における経絡経穴教育の現状と問題点,卒後教育の現状と課題などについて話をうかがった。鍼灸教育に携わる者はもちろん,学生や臨床家にもぜひ耳を傾けて欲しい話をたくさんうかがうことができた。
【読みどころ・その4】p148~159
| 鍼灸臨床の実際に役立つ経絡経穴教科書の提案。 |
【近況雑感】江戸時代鍼灸文献の経穴の扱い(浅川要)
前号(164号)にて現代中医鍼灸のテキストに記載された経穴の配列順を分析した筆者が,今号では江戸時代の鍼灸文献について考察する。取り上げたのは『鍼灸要法』『鍼灸抜萃大成』『鍼灸重宝記』『鍼灸則』『経穴彙解』『和漢三才図会』の6冊である。これらを見てみると,肺経から始まり肝経で終わる経脈の流注にもとづいて経穴を記しているのは『鍼灸要法』だけで,他は経脈の流注にとらわれることなく部位別に経穴を説明していたことが明らかになった。筆者はこうした考察をふまえ,鍼灸臨床の実際にも役立つ新しい経絡経穴教科書を提案する。
『中医臨床』通巻165号(Vol.42-No.2)より