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通巻164号(Vol.42-No.1)◇読みどころ
【読みどころ・その1】p64~73
| 少陽病の邪気はどこへ消えた? |
【杏林春秋】和解少陽の機序と和法に関する考察(篠原明徳)
現代中医学における和法は,和解や調和の方法によって,半表半裏の邪あるいは臓腑・陰陽・表裏の調和が失われた証を解除する方法とされる。しかし,和法と和解剤の概念は錯綜しており,現代においても統一的見解に至っていない。筆者はこの錯綜は『傷寒論』の少陽病の病態認識の曖昧さに由来すると考え,少陽病の病態における三焦概念の軽視あるいは欠落にあると説く。本稿では,少陽病の病態を「経方医学」の観点から考察し,さらに和法の位置づけを明確にする。また太陽病の発汗,陽明病の排便に比べ,少陽病の邪の排除ルートははっきりしない。この点についても考察を加え,さらに邪在少陽の2症例を呈示する。
【読みどころ・その2】p59~63
| 候補の生薬は多いが,何を優先すべきか |
【症例カンファレンス】反復性の慢性扁桃炎(田中耕一郎)
反復性の慢性扁桃炎に対しては小柴胡湯加桔梗石膏の報告例があるものの,保険内では効果の高いエキス製剤が少ない。慢性扁桃炎を癰腫と考え,腸癰湯・大黄牡丹皮湯・桂枝茯苓丸加薏苡仁・薏苡仁末を駆使することはできなくはないが,難渋することもある。そこで本稿では,板藍根末や桔梗石膏などのエキス製剤では効果不十分な症例を呈示し,五味消毒飲を主体とした加減法からの学びを紹介する。生薬の選択に学ぶところは多い。
【読みどころ・その3】p124~130
| 中医針灸のバーチャル研修。 |
【TCMA研修】陰虚肝鬱と疏泄の揺らぎ(鎌田剛)
臨床研修後のカンファレンスの模様を題材に,新米鍼灸師がつまづきがちなポイントを浮き彫りにして,その解決策を具体的に示していく「中医針灸の入門者必読」の連載の第2回。前回に引き続き,睡眠障害・めまい・頭痛を主訴とした47歳女性の症例を通して学ぶ。今回は,陰虚肝鬱の病態を丁寧に掘り下げ,さらに治療方針を明らかにしていく。とくに陰虚肝鬱と判断されているのに,疏肝と滋陰の優先順位が低いというのがキモで,バーチャル指導員は病態を改善させる方法を導き出すことが弁証論治であり,治療者の技量が問われるところだと説く。
【読みどころ・その4】p136~141
| 鍼灸補瀉の重要性。 |
【鍼灸症例】霧視に対する鍼灸治療の1例(遠藤美穂)
霧視(むし)による視界不良を訴える50代女性に対する鍼灸治療の症例。本症例における治療の要点は虚実補瀉の原則にあった。本症例では,治療経過の途中で補瀉の比率を変更したことで,視界が回復する経過を辿った。鍼灸の治療効果を発揮するうえで補瀉手技のもつ意味は大きい。さらに本稿では合谷を例に補瀉の作用機序について詳述する。合谷の作用点としての特徴,合谷の補法・瀉法の作用機序について自身の見解をまとめる。
『中医臨床』通巻164号(Vol.42-No.1)より
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