【読みどころ・その1】p2~5
| 【特別企画】わが国における新型コロナと漢方 |
【治療戦略】2020年度冬 急性上気道炎ストラテジー(加島雅之)
本格的な冬の到来を前にCOVID-19の感染が再び拡大している。そして初期症状においてインフルエンザなど冬季に流行する他の上気道炎ウイルス感染症との鑑別が困難であることが事態をさらに難しくしている。こうしたなか,加島雅之先生がCOVID-19に対応できたうえで,これらの上気道炎ウイルス感染症も網羅した治療戦略を試案(「2020年度冬 急性上気道炎ストラテジー」)としてまとめられた。これは,医療用漢方製剤を用い,漢方に詳しくない医師でも使用できるよう絞り込んだポイントで処方選択ができるように工夫されている。
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【医療関係者向け】「2020年度冬 急性上気道炎ストラテジー」
【読みどころ・その2】p6~8
| 【特別企画】わが国における新型コロナと漢方 |
【症例報告】COVID-19感染症に対する漢方治療~支持療法・後遺症を中心に~(小川恵子)
中国ではCOVID-19の治療ガイドラインに中医学による治療が記載されていることから,漢方薬に対する期待も高まっていると思われるが,実際にはわが国において混乱した医療現場で漢方薬を用いることが難しいのが現状である。これまでの治療経験の蓄積で,西洋医学を用いた一定の対処法も見出されてきている。しかし漢方薬に役割がないわけではなく,支持療法や後遺症に対して漢方治療を用いることができる。本稿では,その可能性を見いだせる2症例を紹介する。
【読みどころ・その3】p56~60
| 相反する病態が同居する虚実錯雑の治療へのヒント。 |
【症例カンファレンス】反復性のバルトリン腺炎(田中耕一郎)
虚実錯雑の治療は難しい。補と瀉の治療を同時に行わなくてはならないからだ。たとえば陰虚と痰飲・湿邪が存在する場合,人体に必要な津液を補い,湿邪という邪気を瀉するという,“水”という点では類似した正邪に対して逆のベクトルの治療を行わなくてはならない。本症例でも湿邪とその化熱という邪を清し祛する以外に,脾気虚・脾陰虚に配慮しながら気血津液を補うということを行わなくてはならなかった。それぞれの治療の方向が相殺されないよう治療方針を整理し,丁寧に生薬を選択しなければならない。活発な議論が行われた。
【読みどころ・その4】p112~118
| 【新連載】中医針灸のバーチャル研修。 |
【TCMA研修】病因病機を時系列で図式化してみよう!(鎌田剛)
免許を取得しても臨床に戸惑い,放り出された感を拭えない新米鍼灸師は少なくない。そこでぶつかるのが「国家試験を受かったのに弁証論治ができない」問題だ。学んだ基礎知識を実臨床の場で活かすには,やはりベテランの指導者に就いて学ぶというプロセスが重要である。しかしその機会に恵まれないことも少なくない。今号から始まった本新連載は,臨床研修後のカンファレンスの模様を題材に,新米鍼灸師がつまづきがちなポイントを浮き彫りにして,その解決策を具体的に示していく。中医針灸の入門者必読の連載がスタート!
『中医臨床』通巻163号(Vol.41-No.4)より